眠れない夜は体を脱いで 彩瀬まる著
様々な年齢の男女の日常
男子高校生、銀行支店長、女子大生など、さまざまな年齢の男女の、さまざまな日々を描く作品集だが、ここではアラフィフ女性を描く「あざが薄れるころ」をとりあげる。
岩田真知子は若いころから化粧が嫌いで、スカート着用も出来(でき)るだけ避け、恋は何回かしたものの実らず、いまも独身。年老いた母と一緒に暮らしている。業務用食器の卸売会社に勤めているが、この職場は生涯で三つめ。給料は安いがセクハラもなく穏やかな社風が気にいっている。その真知子の、数年前から始めた合気道の練習風景を描く短編だが、最後に母に言う台詞(せりふ)がいい。私は私でいいのだ、という真実がここからゆらゆらと立ちのぼってくる。
★★★★
(文芸評論家 北上次郎)
[日本経済新聞夕刊2017年2月23日付]
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。