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増えぬ小児臓器移植 提供者少なく、目立つ海外渡航

ドナー理解進まず 病院の整備課題

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NIKKEI STYLE

脳死判定された人からの臓器移植が認められてから今年で20年。15歳未満の小児からの移植も7年前に可能になったが、件数はなかなか増えず、今も心臓移植のため海外に渡航する子供は少なくない。臓器提供の決断は家族にとって重く、専門家は「国民の理解を深め、病院の体制整備を進めて環境を整える必要がある」と指摘する。

国内まだ12例

「娘の命を救うために渡米して心臓移植を受けさせたい。募金に協力してください」。昨年6月、拡張型心筋症のために心臓移植が必要な女児(1)の両親が静岡県内で記者会見を開き、支援を呼びかけた。目標額の3億円が集まり、女児は昨年11月に渡米して現地で提供を待つ。

15歳未満の小児からの臓器提供は臓器移植法の改正で2010年に可能になったが、提供は計12例にとどまる。16年末時点で各臓器の合計で15歳未満の100人が移植を待っている。

小児から提供された肺や心臓はその大きさが合う小児に移植されるのが一般的だ。腎臓は移植を長く待つ大人への提供が多かったが、国は優先的に小児に移植するよう基準を設ける。

特に重い心臓病の小児は体に合う心臓が提供されるまで待つのは難しい。腎臓や肝臓と違って親などからの生体移植もできない。国内で小児への心臓移植は9例なのに対し、国立循環器病研究センター(国循、大阪府吹田市)の福嶌教偉・移植医療部長の調査では法改正後、海外で10歳未満の23人が移植を受けている。

08年、国際移植学会は「移植が必要な患者の命は自国で救える努力をすること」とするイスタンブール宣言を出した。米国などを除き、外国人への提供を認めない国は多い。そもそも海外での移植には億円単位の資金も必要だ。

埼玉県立小児医療センター(さいたま市)の植田育也・集中治療科長がかつて在籍した静岡県立こども病院(静岡市)の小児集中治療室(PICU)には、県全域から重症患者が運ばれ、脳死とされうるケースは年2例ほどあった。植田科長は「人口比で考えると、小児の脳死は全国で年70例ほどでは」と話す。

承諾はつらい決断

それでも小児からの提供は年1~4例だ。植田科長がこども病院で意思を確認した9家族はいずれも提供を希望しなかった。日本は臓器提供する場合に限って脳死を人の死と認めている。承諾する家族は結果として子の死を選ぶことになり、つらい決断だ。「『十分に治療された』と納得されて初めて提供の選択肢が出てくる」(植田科長)

救急現場などでは悲嘆に暮れる家族に配慮し、提供を切り出さないことも多いという。国循の福嶌部長は「家族が提供できることを知らず、後で『移植できたのでは?』と聞かれる例もある」と指摘する。

国民の理解を深めるとともに移植を巡る体制整備も課題だ。日本臓器移植ネットワークの調査では、10年7月~15年3月に18歳未満で「提供の可能性がある」と連絡を受けたなかで83例が提供に至らなかった。理由は「施設の体制未整備」が最多で17.5%だった。

臓器移植では、まず脳死とされうる状態かを判断し、虐待による死でないことも確認しなければならない。家族の意向を確認し、実際の脳死判定は2度行う必要がある。ハードルは高く、病院は重い責任を負う。

同ネットワークは病院に担当者を派遣し、移植に必要な手術室や機材確保などを担う院内担当者の配置やマニュアル整備などを支援している。11年度から本格化させており、16年度は対象を全国66病院に広げた。

厚生労働省は15年から、提供側の医師や病院向けの措置を実施。▽搬送先の体制が整っていない場合、本来できない患者の移動を敷地内の別施設には認める▽脳死判定に必要な医師2人のうち、1人は他施設所属でもよい――などとした。同省の井内努・移植医療対策推進室長は「移植を望む人が国内で受けられるよう、国民の理解向上も含め取り組みたい」と話す。

◇     ◇

提供数、法改正で増加 欧米に比べなお低水準

臓器移植法は1997年7月に制定された。初の脳死での臓器移植が行われた1999年以降、提供数は年間10例前後で推移。2010年には本人の意思表示がなくても家族の承諾があれば提供できるようになり、その後は大幅に増えた。

16年の提供数は過去最多の64例。だが提供を待つ患者は約1万4千人に上る。うち9割が腎臓移植の待機患者だ。

15年の人口100万人当たりの脳死による臓器提供者数は日本は0.7人。スペイン(39.7人)、アメリカ(28.5人)などを大きく下回る。オーストリアやフランスなどでは生前に拒否の意思表示をしない限り臓器を提供することが原則で、臓器移植は定着している。

(藤井将太、吉田三輪)

[日本経済新聞朝刊2017年2月19日付]

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