「噴水効果」突破口に 腕時計取り扱い百貨店5倍カシオ計算機 畠弘紀さん

「若い顧客を増やした方がいいのではないか」「訪日客の相手ができるスタッフが不足している」。畠さんは大丸東京店の仕入れ担当者と話を重ねる中で、取引先の課題を洗い出していった。

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「オシアナスを店の1階に大々的に並べれば若者が立ち寄って他のフロアの売り場にもプラスになる。中国人客の関心も呼べる」。社内の様々な部門の協力を得て、オシアナスの特設ブースが店にもたらす「噴水効果」を提案書に盛り込んだ。特設ブースの販売員は店舗側が出すが、中国語を話せる説明員はカシオが雇うことにした。提案は見事に通った。

カシオにとって過去に経験がないほど高く設定した売上高の目標も達成した。大丸東京店にはそれ以降、腕時計売り場にカシオの製品が並んだ。

「ぜひ、うちでもやりたい」。大丸東京店の成功が伝わると、他の百貨店からも声がかかった。牙城だった首都圏の百貨店の販路をこじ開けることに成功した。畠さんを中心とした営業の結果、16年の首都圏の百貨店での売上高は08年の4倍になった。

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15年ほど前、畠さんは雪が積もった岐阜県の道路を営業車で走っていた。あるホームセンターの仕入れ担当に腕時計を売り込むためだ。ホームセンターは1回の商談で1年間にどのくらいの売り場面積を割り当ててもらうかが決まる。採用されなければ1年間は見通しが立たない。「失敗したらアウト」だ。

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