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予防接種、多い注射回数 多種混合の認可が遅れ

独仏は「6種ワクチン」採用

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NIKKEI STYLE

ワクチンで予防できる病気は多く、特に乳幼児は積極的な接種が勧められている。かつては欧米に比べ使えるワクチンの少なさが指摘されたが、近年は認可が進み「ワクチンギャップ」は解消されつつある。それでも大きな違いがある。接種する種類が同じでも、注射回数が多いケースがあることだ。子供や保護者にとって負担は小さくないが、なぜなのだろうか。

「はーい、ママの方を向いてね。もう終わったよ」

東京都品川区の鈴の木こどもクリニックには多くの乳幼児が予防接種を受けに来る。鈴木博院長は「最近、日本で使えるワクチンが一気に増えたのはうれしい」と話す。

少し前まで日本は「ワクチン後進国」と呼ばれていた。2007年時点では細菌性髄膜炎の原因となる「ヒブ(インフルエンザ菌b型)」や「肺炎球菌」など、感染すれば後遺症を伴う恐れがある病原体に対し、海外で認可されたワクチンが使えなかった。

種類増えたが…

09年の新型インフルエンザの世界的流行などを受け、それらは次々に認可された。医療現場に浸透し、種類を巡る欧米とのギャップは小さくなった。

ただ日本の子供の接種回数は多く、スケジュールは複雑だ。海外で一般的な多くの種類を組み合わせた多種混合ワクチンの認可が遅れていることが背景だ。

例えば国内では「ジフテリア」「百日ぜき」「破傷風」「ポリオ」の4種混合ワクチンを使う。これと別にヒブと「B型肝炎」のワクチンを打つ。この3ワクチンは定期接種の対象で生後24カ月までの接種回数は計11回。同じ日にまとめて注射することもある。

しかし欧米では4種混合にヒブを混ぜた5種混合や、さらにB型肝炎を加えた6種混合もある。5種混合を使う米国の接種回数は8回、6種混合を使うドイツとフランスはそれぞれ4回、3回だ。

鈴の木こどもクリニックの鈴木院長は「5種、6種混合が使えれば子供の苦痛が減るだけでなく、接種スケジュールが簡単になる。通院の負担や打ち忘れも減る」と強調する。

そうしたワクチンが認可されない理由に製造上の規制がある。国が決めた「生物学的製剤基準」は含有成分量や必要な試験などを細かく規定。日本独自のものもあり、海外のワクチンはそのままでは基準外になることが多い。

混合ワクチンは1本に入れられるそれぞれの抗原が単体ワクチンに比べ少なく、接種で体内にできる免疫力をより高めるため添加物が必要になる。その種類や量が基準外と判断される場合がある。また混合でも各病原体に対し単体と同等の高い効果を求められ、クリアは容易ではない。米国研究製薬工業協会は「海外で実績があっても認められず、日本は閉ざされた市場だ」と批判する。

根強い不信感

厳しい基準の背景には、過去にみられたワクチンの副反応への懸念がある。ワクチンに関する国の検討会委員の経験がある小児科医の薗部友良氏は「ワクチンに対して不信感が醸成されやすく、国が積極的に動きにくい」という。

国産で開発を進めたい意向もある。ワクチンは培養技術などが必要な生物学的製剤と呼ばれ、一般の医薬品に比べ生産が難しい。「海外産に全て依存すると感染症が流行したときに足りなくなるリスクがあり、国産を供給できる体制は必要」(薗部氏)

子供を育てる母親からは「海外はワクチンの接種回数が少ないとは知らなかった。注射が減らせるようになってほしい」(品川区の28歳の主婦)などの声があがる。国内ではジフテリアと百日ぜき、破傷風、ポリオにヒブを加えた5種混合ワクチンが最終段階の臨床試験に入っている。数年内に認可される可能性もあり、少しずつだが過密な接種スケジュールの緩和も進みそうだ。

◇     ◇

副反応、配慮も必要

ワクチン接種に伴う副反応は過去に相次いでおり、安全性への配慮は不可欠だ。

1989年に接種が始まった「麻疹」「おたふくかぜ」「風疹」へのMMR3種混合ワクチンでは、数百人に1人の高頻度で髄膜炎が発生。93年に接種が中止になった。国内で作ったおたふくかぜウイルス株の弱毒化が不十分だったため。海外では「水ぼうそう」を加えた4種混合が認可されているが、日本はおたふくかぜを除いた2種混合の認可にとどまる。

「ジフテリア」「百日ぜき」「破傷風」のDPT3種混合ワクチンでは、75年に2件の死亡例が出た。百日ぜきの菌体処理技術が原因で、いったん接種中止に。一方で接種率低下で百日ぜきが流行、多くの死者が出た。現在は改良され接種されている。

最近でも子宮頸(けい)がんワクチンを接種した女性の一部が全身の痛みなどの症状を訴え、国と製薬会社に損害賠償を求め集団提訴した。厚労省の研究班は昨年12月に「接種歴がなくても同様の症状をもつ女性が一定数いる」とする調査結果を公表したが、接種と症状の因果関係は判断していない。

(野村和博)

[日本経済新聞朝刊2017年2月12日付]

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