ここに荒ぶる二つの魂を持った男がいる。武人のそれと絵師のそれと――。男の名は、海北(かいほう)友松(ゆうしょう)。武士の家に生まれながら、寺に入れられるも、絵に魅せられ、“闘う武士の美しさ”を描きたいと念じるようになる。
が、時は戦国。同じ寺の出で毛利の外交僧となった安国寺恵瓊(えけい)が驚く、農民や町民が虐殺されるさまを描き、「どのような美しさも目の前にあるものを見ずにすましては、描くことはできぬ」といい放つ。従って本書は、友松の一代記であるとともに、彼の見た戦国史ともいえる。キビキビした文体とともに作者の洞察力も素晴らしく、本能寺の変の遠因を天文法華の乱とするあたり、凡手にはできぬ業(わざ)であろう。本書は作者の50冊記念作品である。
★★★★★
(文芸評論家 縄田一男)
[日本経済新聞夕刊2017年2月9日付]
★★★★★ 傑作
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
★★★★☆ 読むべし
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★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…