花園直道「スーパー日舞」 ポップスからロックまで
舞い斬新
レディ・ガガやマイケル・ジャクソンのポップスから日本の演歌、ロック調の津軽三味線まで。古今東西の音楽に合わせて日本舞踊を披露する「スーパー日舞」が人気を集めている。坂東流の名取でもある舞踊家の花園直道(28)が「若い人にも日舞を身近に感じてもらいたい」とスタートして10年。若者や外国人に受け、昨年は初の単独全国ツアーを開いたほか海外公演にも多数出演している。
踊りの動きはあくまで日舞の基本に忠実だ。激しいリズムに合わせて素早く体を回転したり、扇子を繰り返し飛ばしたりと、スピード感をアップした舞いが特徴。衣装も和服に革ジャンを合わせるなど和洋折衷で、花園自らデザインした。面を使った早がわりや殺陣も取り入れ、次々と披露されるパフォーマンスに観客は目が離せなくなる。
日舞を始めたのは12歳のとき。母親が習っていたのをきっかけに自身も稽古を始めた。同じころ、たまたま東京・浅草で大衆演劇を見て、「若い役者ががんばっている姿に憧れ、帰宅してすぐ扇子を使った動きを練習するようになった」。さらに津軽三味線も習い始めた。中学時代には神奈川県内で活動する大衆演劇の一座に参加した。
17歳で坂東流の家元だった十代目坂東三津五郎から蔦之龍(つたのりゅう)の名をもらい名取に。翌年、花園直道を名乗って数人の仲間と舞踊集団を結成し、日舞の新しい姿を模索し始めた。ただ181センチの長身は日舞、特に女形舞踊にはネック。悩んでいたときに出合ったのがマイケル・ジャクソンの代表曲「デンジャラス」だった。ダンスの中に腰を落としたり股を割ったりする日舞と共通の動きがあると気づき、「これをはかま姿でやったらカッコいいんじゃないかと思った」。
2009年、東京・中野サンプラザで初の大ホール公演に臨み、約2千人を動員。翌年には三越劇場で座長公演を成功させた。また米国やフランス、韓国など海外公演にも乗り出しており、今月はバンコクで開く「ジャパンエキスポ」にAKB48やピコ太郎らとともに出演。「日舞への先入観が少ない外国の方には特に好評を頂いている。もっといろんな国で踊って日舞の魅力を広めたい」と話す。
(雄)
[日本経済新聞夕刊2017年2月8日付]
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