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「リビングウィル」 終末期に望む治療、書面で準備

病院など作成後押し

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NIKKEI STYLE

不治の傷病で死が迫ったときにどのような治療を受けたいか――。判断能力が保たれている間に自分の希望を書くなどした「リビングウィル」があれば、家族らが患者の意思を巡って悩んだり、苦しんだりしなくてすむ。病院や自治体、様々な団体がそれぞれ書式を用意し、作成を手助けする催しも開かれている。自分の人生を振り返り、終末期を考えるリビングウィル作成のポイントを紹介する。

1月中旬、神戸市の施設の一室に中高年ら約30人の男女が集まった。市民団体「患者のウェル・リビングを考える会」(同市)が開催した「老い支度教室」。参加者は終末期についての講義を聞き、話し合った上で「ファミリー・リビングウィル」を作る。

同会は2014年にこうした催しを本格的に始め、年5回開いている。これまでに約150人が受講。当初から参加する市内の女性(82)は「唯一の身内の弟に迷惑をかけたくないので終末期のことは自分で決めておきたい。勉強して胃ろうなどについての気持ちが変わり、リビングウィルを書き直した」と話す。

同会が重視しているのは、家族や医療者・介護者との対話だ。「『ファミリー』は周囲の人とのつながりを意味する」と会の中心メンバーで、この日講演した浜渦辰二・大阪大学大学院教授(臨床哲学)は説明する。「リビングウィルは病や老いを含め、人生を振り返る中から生まれる」

病気や事故で意識や判断能力の回復が難しくなったときに備え、どんな治療を望むかを記したり、代理人を指名したりしておくのがリビングウィルだ。

聖路加国際病院(東京・中央)は09年、書式などをまとめた「私のリビングウィル 自分らしい最期を迎えるために」を作成。(1)人工呼吸器など生命維持のため最大限の治療を希望する(2)胃ろうなど継続的な栄養補給は希望する(3)点滴など水分補給は希望する(4)水分補給も行わず、最期を迎えたい――といった選択肢とともに、患者本人や家族の署名欄を設けてある。

北里大学北里研究所病院(東京・港)も08年から「リビングウィルセミナー」を開いている。飯ケ谷美峰総合内科部長は「書面に残すことは大切だが、最も重要なのは周囲との話し合いを通じ本人の希望を明らかにし、穏やかな臨終と後悔しない看取(みと)りを実現すること」と説明する。

対話重視のリビングウィル作りは近年の流れで、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)と呼ばれる。厚生労働省は14年度から全国の病院を対象にしたモデル事業「人生の最終段階における医療体制整備事業」で、こうした流れを支援している。国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)を事務局に、ACPを仲介する相談員を育成するなどして普及を図っている。

ただ患者の意思は時間の経過とともに変わることがあり、患者が家族と十分に話し合っていないケースも少なくない。同センターの三浦久幸在宅連携医療部長は「治療に精いっぱいで患者の意向を丁寧に聞き取るのが難しい医療者に代わり、相談員が病院や施設に常駐して対話を促し、意思決定を支援する仕組みが望ましい」と指摘する。医師が病状を説明する際、相談員が同席する病院もあるという。

リビングウィルは欧米では国民の10~40%が示しているとされるが、日本ではごくわずかだ。これまでは医療者が患者を少しでも延命させることを重視し、医療の進歩もそれを可能にしてきた。ただ超高齢社会を迎え、病気や障害を抱える高齢者が急増。終末期を過ごす場所や医療で、本人の意思をどう尊重するかはますます重要になりそうだ。

三浦部長は「円滑な意思決定のため元気なうちから地域のかかりつけ医や薬剤師、ケアマネジャーらと希望について話し合ってみて」と呼び掛ける。

◇     ◇

尊厳死の宣言書 国内で11万人超

リビングウィルは1970年代に米国で始まった運動で、日本では76年創設の日本尊厳死協会が「尊厳死の宣言書」を発行・管理したのが最初だ。

宣言書は(1)私の傷病が不治で死が迫っている時、単に死期を引き延ばす措置はお断りします(2)苦痛を和らげるためには十分な緩和医療を行ってください(3)回復不能な遷延性意識障害(持続的植物状態)に陥った時は生命維持装置を取りやめてください――の3項目から成る。現在11万5000人が登録し、宣言書を持っているという。

近年の「終活ブーム」で数多く出版されている「エンディングノート」にも、終末期医療について希望を示すページがある。ただ同ノートの普及啓発に取り組む行政書士の本田桂子さんは「リビングウィルには法的強制力がないため、100%確実に実行されるとは限らない」と語る。

本田さんが勧めるのは、公証役場でのリビングウィルの作成。正常な判断能力があるときに作ったことを証明でき、家族が立ち会えばその同意も盛り込めるという。

(編集委員 木村彰)

[日本経済新聞夕刊2017年2月2日付]

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