ヒトと文明 尾本恵市著
DNAでふりかえる人類史
このごろは、人類の発達史もDNAの調査をとおして、えがかれる。たとえば、日本列島でくらす人々の系統を考える時でも、事情はかわらない。DNAでの鑑定は、必須の条件になってきた。著者は、人類学がその方向へ舵(かじ)をきった時代に、船頭役をつとめた先駆者である。
DNAでの探究は、人類史をふりかえる研究に、どのような新しい知見をもたらしたのか。著者は、自分の研究歴をのべつつ、それら新しい発見を、いろいろ紹介してくれる。衣服の起源がコロモジラミのDNAから判明した、等々と。
狩猟採集民は、土地を所有しなかった。私有への欲望は農業がふくらませたのだという。文明の原罪とでも言うべきか。深く考えさせられた。
★★★★
(風俗史家 井上章一)
[日本経済新聞夕刊2017年2月2日付]
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
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