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在日ブラジル人の知恵袋 ポルトガル語で雑誌、16年

日伯友愛社長、田井博基リカルド

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NIKKEI STYLE

"IMPOSTOS EM DIA"

はためく日の丸と一万円札がコラージュされた表紙には、こんな見出しが躍る。「滞りない納税」という意味で、副題は「日本での納税義務と保険に関する完全ガイド」。ポルトガル語で書かれた在日ブラジル人向けフリーペーパー「alternativa」の2017年1月26日号だ。

日系ブラジル人の父と日本人の母を持ち、ブラジルで生まれた私は、19歳で日本にきた。29歳のとき「在日ブラジル人の役に立つ雑誌を作ろう」と思い立ち、以来16年間、月2回発行している。

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一時は6万部超発行

発行部数は一時、6万部を超え、「最大手の在日ブラジル人向けメディア」といわれるまでになった。税金や教育制度など、生活に密着した情報を届けるべくまい進してきたつもりだ。

「お兄ちゃん、元気でいいね!」。1990年、愛知県の自動車部品工場で働き始めた。ブラジルの治安が悪くなり、両親が日本移住を決めたためだ。同僚は年上の日本人ばかりで、みな優しく、声をかけてくれた。日本語を教えてくれるおじさんもいれば、休み時間にお菓子をくれるおばさんもいる。あっという間に日本が好きになった。

当時はバブルまっただ中。元気な若者が働く場所はいくらでもあった。その後は神奈川に移り、いくつかの職に就いた。

幸せな日々だったが、不満もあった。昔からサッカーチームやバンドのリーダーをしてきたせいか、新しいアイデアを思いついたら実行しないと気が済まない。工場の製作工程についても、「どうしてこの順番なんですか。非効率です」などと、上司に改善を提案した。でも、彼らは決まって困った顔になり、「そうだな、う~ん……」と黙ってしまう。

ああ、これは日本の「文化」なのだ、と気付いた。文化を変えるのは難しい。それならいっそ、起業しよう。まっさきに思い浮かんだのが、在日ブラジル人に必要な情報を届ける仕事だった。

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全国6カ所に記者配置

20世紀半ば以降、大量の日本人がブラジルに移住した。90年代に入ると今度は日系ブラジル人の2世、3世が、日本へ向かった。彼らの中には日本語の読み書きができない人も多い。ポルトガル語の情報を望む人は多いはずだと踏んだ。

じつはブラジルにいたころ、サンパウロ州南部むけの地域紙を作っていた時期がある。記者から記事を集め、紙面デザインや営業、配布は私が担当した。この経験を生かし、「alternativa」を創刊した。2000年、29歳だった。

当初は求人情報やレストラン、資格学校などの広告を載せ、在日ブラジル人コミュニティーがある地域の食料品店や美容院に置いてもらった。しばらくすると「記事が読みたい」との声が多く届き、東京、名古屋、静岡など全国6カ所に記者を配置してオリジナルの記事を載せるようになった。内容は生活に役立つものにしようと決めた。

例えば、日本の食材を使ったブラジル料理のレシピや、日本での子育てについてのコラム。それから、ブラジル大統領の訪日が在日4世のビザ取得に与える影響や、マイナンバー制の解説などの時事問題もたっぷり。

"VIDA DE PRESO(刑務所の生活)"と題した16年10月20日号の特集は、特に反響が大きかった。各地の刑務所で服役中の在日ブラジル人に3カ月以上かけて手紙で取材し、生々しい声を紹介した。「あの日に戻りたい」と悔やむひき逃げ犯、夫の暴力に耐えかねて「酒とドラッグに溺れた」と告白する女性――。過酷な状況を伝えることで犯罪の抑止力にしたいと考えた。

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読者「生活変わった」

コミュニティーに広く浸透しているため、警察がブラジル人犯罪者の捜査のための広告を載せたこともあった。ここまで深く、速く、在日ブラジル人に必要な情報を届けているのは私たちだけだと自負している。

経営は順風満帆というわけではない。ピーク時に30万人以上いた在日ブラジル人は、リーマン・ショックで雇用が落ち込むと帰国を余儀なくされ、現在は20万人以下に落ち込んだまま。そのため広告需要は一気にしぼみ、発行部数も3万8000部にとどまる。

だが、「雑誌のおかげで生活が変わりました」と声をかけられると、疲れは吹っ飛ぶ。幸せをかみしめながら、働いている。

(たい・ひろき・りかるど=日伯友愛社長)

[日本経済新聞朝刊2017年1月31日付]

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