天空の詩人 李白 陳舜臣著漢詩の形をした日記収録

(講談社・1500円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

陳舜臣が亡くなったのは、2年前。晩年の仕事にこの本に収録されている「天空の詩人 李白」という連載があった。雑誌連載はしかし著者の病気によって中断され、完成をみなかった。

李白の漢詩を一つひとつ取り上げ、解釈をし、短いが適切な批評を寄せる、そんな文章だ。

ただ今度この単行本を手にして一番驚いたのは、表題作と共に収められている「澄懐集」なる私家版の漢詩集だ。1986年にごくわずかな部数だけ刷られたらしい。漢詩の形をした日記である。

パリ郊外にあるバルビゾンを訪ねた。美しい風景が広がる。だが、観光客が多く、野外の食事は台無しになった。著者は「豈料野餐塵砂起/沿途沸溢觀光車」と記した。

★★★★

(批評家 陣野俊史)

[日本経済新聞夕刊2017年1月26日付]

★★★★★ 傑作
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…

天空の詩人 李白

著者 : 陳 舜臣
出版 : 講談社
価格 : 1,620円 (税込み)