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白い衝動 呉勝浩著 少年犯罪のミステリが深化

2017/1/26付 日本経済新聞 夕刊

(講談社・1600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

ヒロインは学校カウンセラー。殺人衝動を告白する少年と「秘密」を共有する破目(はめ)になる。一方、地元に隠れ住む元犯罪者の存在が被害者家族によって暴露される。彼の精神鑑定を依頼されたのが、ヒロインの恩師。

因果の連鎖は深く根を張る。だが、ヒロインに即して語られる物語は、主観に偏向した真実の断片だ。紙一重の近くに真逆の「世界」があって……。

少年犯罪とその波紋を描くミステリは、被害者の傷を代弁するかのような方向に傾きがちだった。本書はそれを踏襲するのではなく、さらなる深化をめざした。

美談はいらない。「悪」は必ず在る。社会は、それを排除するのか、隔離するのか、それとも?

★★★★

(評論家 野崎六助)

[日本経済新聞夕刊2017年1月26日付]

★★★★★ 傑作
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…

白い衝動

著者 : 呉 勝浩
出版 : 講談社
価格 : 1,728円 (税込み)

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