「かっかく」なのに合格祈願で人気 埼玉・合角ダムダムカード足りず増刷 「ごうかくダムカレー」も

湖底には天狗が投げて川をせき止めたと伝わる「天狗岩」が眠る
湖底には天狗が投げて川をせき止めたと伝わる「天狗岩」が眠る

埼玉県秩父市と小鹿野町にまたがる「合角(かっかく)ダム」のダムカードが、ダム愛好者の間で受験に御利益があると人気上昇中だという。半信半疑でダム管理所を訪ね、警備員に本当なのかと聞くと、「中には合格祈願で、と話す人もいるから、かなり多いと思いますよ」と即答した。

合角ダムは、西武秩父駅から北西に約13キロメートル、荒川水系赤平川の支川、吉田川に2003年に完成した県営のダムだ。西秩父桃湖とも呼ばれ、総貯水量は1025万立方メートル。下流の洪水調整や、25万人相当の水道用水の補給などの役割を担う。名称は建設前にあった「鹿がけんかして角を合わせていた」との由来がある地名の集落にちなむ。

だが、字面だけで正確に読むのは難しい。「『ごうかく』と読めるため、合格祈願に訪れる人が増えている」と県秩父県土整備事務所の青木裕司ダム管理担当部長。16年には前年と同じ6千枚のダムカードを用意したが、足りずに増刷した。

20階建てビルに相当する高さ60.9メートル、天端の幅195メートルの重力式コンクリートダムは、10人以上の研修などの目的であれば内部を見学できる。職員の案内で年間通じて気温10度ほどの通路や階段を歩けば、探検気分だ。毎年11月14日には見学会が開かれている。

湖はワカサギ釣りのスポットとして知られ、毎年9月~翌年3月、遊漁券を買い釣り糸を垂れる姿が並ぶ。両岸を結ぶ合角漣(さざなみ)大橋は全長440メートル。湖面に架かる橋では国内最大級の姿が水面(みなも)と山肌の景色に映える。

ダムの麓の施設「吉田元気村」は県の依頼を受けて昨年11月、「合角ダムカレー」をレストランで発売。ダムの地形を模し、エビフライで放流水を表現した。

これからの受験シーズンには「ごうかくダムカレー」が登場する。ライスを縁起のいい五角形にし、ヒレカツ5枚を配置。ダム上流部にある真言宗菩薩(ぼさつ)寺で合格祈願したお守りを付ける。今月27日から3月19日まで、期間中全体で150食の限定販売だ。

滝沢ダムなど秩父地域にある4ダムの中では知名度が低く、秩父県土整備事務所の飯塚浩河川砂防部長は「合格人気を地域活性化にも生かしたい」と話す。

語呂合わせに乗る格好だが、湖底には天狗(てんぐ)が巨岩を投げて川をせき止め、村人の水争いをいさめたと伝わる「天狗岩」が眠る。そう聞くと、何やら本当に御利益がありそうな気がしてきた。

(さいたま支局 山岡亮)

西武秩父駅から西武観光バス・秩父吉田線の吉田元気村行きで約1時間10分、秩父鉄道秩父駅からは同じバスで約1時間5分。終点で下車し徒歩10分。運行本数は少ない。自家用車なら関越自動車道の花園インターチェンジから約33キロ。ダム周辺の駐車場3カ所に30台以上が駐車可能。
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