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子どもの強い近視に要注意 「病的近視」失明も

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NIKKEI STYLE

 40歳以上の日本人の約4割は近視とされる。ありふれた異常なので軽く考えがちだが、眼球がいびつにゆがむ「病的近視」は侮れない。何十年もかけてゆっくり進行し、視神経をむしばんで、最悪の場合は失明することもある。最近の研究から、病的近視の患者は子どもの頃から眼底に兆候が表れていることもわかってきた。早めの対処で進行を食い止めれば、最悪の事態は回避できるとみられる。

60歳の会社役員Aさんは、小さい頃から強度の近視だった。眼鏡をかけて生活してきたが、パソコンに長時間向かうと目が疲れるようになった。年のせいだと思っていたが、ある日、ゴルフの大会でボールにピントが合わず、クラブを空振りしてしまった。右目と左目を交互に覆ってみると、左目では遠くの景色がかすんで見え、近くの手のひらを見ると真ん中が暗く、ゆがんでいた。

慌てて眼科に駆け込んだAさんは、「病的近視」と診断された。眼球の後ろ側がいびつに変形し、視細胞が集まる網膜が剥がれる網膜剥離を起こしていた。

「病的近視はこんなふうに、気がつかないうちに進行していることが多いんです」と、病的近視研究の第一人者、東京医科歯科大学の大野京子教授は話す。Aさんの網膜剥離は幸い手術で治療でき、それ以上の悪化は食い止められた。

眼球は直径約2.4センチの球形だが、前後方向に伸び、網膜に像を結ばなくなった状態を近視という。眼鏡の度数でマイナス6以下になると「強度近視」と呼ぶ。さらに視力が低下し、眼鏡の度数がマイナス8以下になると、眼球が伸びるだけでなく、眼球の一部が飛び出していびつにゆがむ「病的近視」になっている恐れがある。

病的近視になる原因ははっきりわかっていないが、遺伝的な要因も大きいと考えられている。多くの場合、小児期から発症し、長い時間をかけて徐々に進行していく。

日本小児眼科学会理事長を務める国立成育医療研究センターの東範行医長は「病的近視は、子どものときには近視以外の症状は表れないので気づきにくい。大人になってから様々な問題が出てくる」と話す。

強度近視だけなら眼鏡などで矯正すればよいが、病的近視の問題は視力ではない。ゆがみが次第に大きくなり、眼球の奥が変形すると網膜や視神経が傷つき、深刻な合併症が起きることがある。

網膜剥離のほか、視神経が傷つくと、視野の一部が見えなくなる緑内障になる。視野の欠損は症状が重くなるまで気づきにくい。早期に診断できれば眼圧を下げる目薬を差すことで、ある程度は進行を抑えることができる。

ゆがんだ眼球に亀裂が生じ、新しい血管が目の中に入ってくると、黄斑変性という病気になる。新しくできた血管はもろく破れやすい。血液が漏れ出すと光が遮られ、視野の中に黒い影が生じる。

治療では血管をつくる物質の働きを妨げるラニビズマブ(商品名ルセンティス)という薬を眼球に注射する。血管を眼球から取り除く効果がある。1回の注射で血管がほぼ消失し、矯正視力が大きく改善した例もある。

かつて岐阜県多治見市で実施された調査によると、40歳以上の人のうち強度近視の人は約8%だった。また福岡県久山町で行われた別の調査で、病的近視の人が1.7%いることがわかった。

現在、病的近視の患者の1割が、最終的に失明に至るとみられる。東医長は「緑内障などでいったん視神経が傷つくと、元には戻せない。子どものうちに発見し、定期的に検査して食い止めることが重要だ」と指摘する。

眼鏡の度数がマイナス6度以下になったり、強度近視がなくても急に視力が低下したりした場合は眼科を受診し、通常の近視か、病的近視かを調べてもらう。病的近視とわかったら、「できれば同じ病院で年に2~3回、継続して検査を受けるとよい」(東医長)。合併症が起きたらただちに治療して進行を食い止めることが、将来にわたって視力を保つことにつながる。

大野教授らは昨年6月、病的近視患者の多くは、小児期から眼底に兆候が見えることをつきとめた。大人になってから病的近視と診断された19人の過去のカルテを遡って調べたところ、17人は15歳以下のときから網膜が薄くなっていることがわかった。

網膜の厚さは通常の眼底検査でもチェックできる。子どものうちに病的近視になるリスクを把握し、「合併症の対策に役立てたい」(大野教授)という。

昨年7月、近視に関心の高い眼科医らが日本近視学会を設立した。今後病的近視の診療ガイドラインをまとめ、患者の早期発見と失明予防に役立てる狙いだ。

◇     ◇

根治は難しく レーザー治療の開発進む

厚生労働省の研究班は2005年度、新たに失明した18歳以上の患者を対象に、失明の原因を調査した。最も多いのは眼圧の上昇などによって視神経が傷つく緑内障で、糖尿病のために網膜の血管がつまる糖尿病網膜症がこれに続く。3番目が遺伝子の変異によって起きる難病の網膜色素変性症だ。病的近視はこれに次ぐ4番目で、失明原因の6.5%を占めている。

病的近視の根本的な治療はないが、東京医科歯科大学の大野京子教授らは、レーザーで眼球を取り巻くコラーゲンなどの組織を固め、眼球の変形を抑える動物実験を進めている。同様の手法は角膜の治療に用いられており、装置はすでに実用化されている。動物で効果が確認できれば、数年以内に患者を対象にした治験に着手したいとしている。

(遠藤智之)

[日本経済新聞朝刊2017年1月15日付]

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