キラキラ虹色のタマムシ、どうして光るの?

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キラキラ虹色のタマムシ、どうして光るの?

スーちゃん 冬休みに科学館でキラキラ光るタマムシの標本を見たよ。虹みたいにいろんな色に光ってきれいだった。見る角度がちがうと、色もちょっと変わるんだ。一部のチョウやクジャクの羽も同じだって。不思議だなあ。

体表の層が、光の反射の向きを変えるんだ

森羅万象博士より タマムシは昔から美しい昆虫として好かれていたみたいだよ。奈良県の法隆寺(ほうりゅうじ)には、タマムシの羽でかざった入れ物「玉虫厨子(たまむしのずし)」という有名な国宝があるね。

様々な色に光るのは、タマムシの体の表面に秘密があるんだ。とても細かくて複雑な形になっているよ。ここに太陽や蛍光灯(けいこうとう)の光が当たると、いろんな色の光が様々な向きに反射する。それがきれいな色に見えるんだ。形が色をつくっているので、「構造色(こうぞうしょく)」と呼ぶよ。はじめから、きれいな色を塗っているわけではないんだ。

タマムシの羽を観察してみよう。理科室にあるふつうの顕微鏡(けんびきょう)では見えないけど、電子顕微鏡という特別な機器で羽の切断面をみると、うすい層(そう)がたくさんあるよ。1ミリメートルの1万分の1(100ナノメートル)くらいの層が20層くらい重なっている。

太陽や蛍光灯の光は白いけど、実は赤やオレンジ、黄、緑、青などたくさんの色が混ざっている。

タマムシの体に当たると、いくつも重なった層のそれぞれで反射する。反射した光が組み合わさると、ある色の光が強まったり、別の色の光は弱まったりする。それが虹みたいに様々な色に光って見えるんだよ。

見る向きを少し変えると、目に届く光もずれて少しちがう色に変わるよ。どの向きから見ても赤は赤、青は青というように同じ色に見えるふつうの色とはちがうんだ。

構造色を取り入れた生き物は多いよ。南米にすんでいて、羽が青くかがやくモルフォチョウは特に有名だね。世界一美しいという人もいるよ。

羽の表面はりんぷんという粉をまぶしたようになっている。りんぷんは規則正しく並び、表面は細かいギザギザの形をしているよ。

細かなギザギザやデコボコに光が当たるとき、光の色によって反射する向きが少しずつちがう。モルフォチョウは青い光を強く反射する形なので、青くかがやいて見えるんだね。

クジャクやカワセミといった鳥の羽、ネオンテトラなどの熱帯魚の体、アワビのような貝がらの内側などのあざやかな色も構造色だ。動物園や水族館で見てみたいね。

構造色は自然界だけのものじゃないよ。音楽や画像を記録するCDの裏(うら)面もきらきらと光っている。表面の細かなデコボコがモルフォチョウの羽と似た仕組みなんだ。

CDはデータを記録するために小さなくぼみをたくさん刻んでいる。小さくて同じようなくぼみが並んだ構造がたまたま光っているけど、タマムシやモルフォチョウの羽の構造をうまくまねたらきれいに光るよ。金属製のスプーンやコップも表面を細かく加工するとタマムシみたいに緑や青にかがやくんだ。

金属に色を付けるにはふつう塗料(とりょう)が必要だけど、このスプーンやコップには使っていないんだ。電気で金属の表面にすごくうすい膜(まく)を作るだけだって。時間がたっても色あせたり、変色したりしないので新しい技術として注目されているよ。

■「波長」が色の違い生む

博士からひとこと 光の色は光が波のように伝わる性質を持つことと関係している。一つの波から次の波までの長さを「波長」と呼び、波長の異なる光が人の目には違う色に見える。人の目はおよそ380~780ナノ(ナノは10億分の1)メートルの波長の光を見ることができる。波長が長い光は赤っぽく、短い光は青っぽく映る。
タマムシなどの「構造色」は、光の波長よりも小さい非常に細かな構造に光が反射して起きる現象だ。ただ、生き物によって目の仕組みや光の見え方は違う。人が見る色を生き物たちはどうとらえているのかや、生き物のあざやかな構造色にどんな意味があるのかなど、謎は多い。

(取材協力=長島孝行・東京農業大学教授)

[NIKKEIプラス1 2017年1月14日付]

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