冬の夜空、暖かい室内で「観測」 スマホアプリが活躍
銀河全体、画面上で把握も
1月も中旬に入りまだまだ寒い日が続く。夜空の星を見に行きたくても、外へ出て天体観測をするのには向かない季節かもしれない。そんなときに便利なのは天体観測アプリだ。スマートフォン(スマホ)があれば暖かい家の中でも夜空を眺めた気分になれる。今までに見つかった惑星をデータベースにして検索できたり、銀河全体を画面上で把握できたりするアプリも登場している。
天体観測はしたいけれど、寒いので外には出たくない。役に立つのはアプリ「Star Walk TM 2」だ。このアプリは全地球測位システム(GPS)を利用して実際に今いる場所から見える星空を画面いっぱいに表示する。
データベース検索
アプリ上、地面は仮想の湖が広がっている。しかし湖をよくみると普段は地面に沈んでいてみえないはずの星も表示する。このため昼に日が出ていて観測できない星についても、アプリを使えばどの方角にあるかをすぐに確認できる。気になった星や星座を押すと、名前を表示する。画面を拡大すると、該当部分についてより詳しく教えてくれる。
Star Walk TM 2は外で実際に天体観測をする場合にも、星や星座のガイドとして活用できる。画面の左上にあるコンパスを押すと、自分が今向いている方角に自動修正してくれる。またスマホを空に向けて画面右上のカメラボタンを押すと、スマホが実際の上空を映しながら、どこに何の星があるかを案内する。これらは天体観測で見つけたい星があるときにおすすめの機能だ。
星についてもっと詳しく知りたいなら、見つかっている全ての惑星の詳細をデータベースで検索できる「Exoplanet」が活用できる。視点は宇宙。このため、宇宙旅行をしているような感覚だ。
アプリを開くとまず銀河が表示される。銀河を少しずつ拡大し、気になる星を2度押すと、さらに拡大してその星の表面の状態や、周りをまわる惑星の軌道を示す。
惑星をさらに詳しく調べたいときは、アプリの付属機能のデータベースを活用できる。知りたい星の名前を打ち込むと、その星の周りをまわる惑星の質量や軌道周期、重力など今までの研究によって分かっていることを教えてくれる。地球から空を見上げても確認できない星も探索したいときなどにおすすめの機能だ。
仮説を立てて計算
Exoplanetは海外で人気が高い。米シアトル在住のライアン・バートンさん(26)はヘビーユーザーの一人だ。「アプリは星を眺めているだけではなくて、いろいろな雑学が身につくから、使っていてとても楽しい。画面上の銀河をみているうちに、自分がいかに小さな存在かといったことにも気がつく」と話す。
目で見て楽しむよりデータで星などを比較したいときは新しいデータベースの技術を活用しているアプリ「Wolfram Alpha」が使える。計算したいことを文字にかき出すと、仮説を立てて計算してくれる便利なアプリだ。
たとえば、太陽と火星、どちらが地球に近いのかとアプリの検索機能に打ちこむ。すると「太陽と地球の距離、火星と地球の距離」と解釈したうえで、太陽の方が近いと答えをくれる。答えには裏付けのデータも示してくれる。
アプリは星の検索以外でも幅広く活用できる。為替の変換や言葉の翻訳、20年分の給料の計算にまで対応する。ただ難点は、検索ワードが日本語に対応していないこと。英語で検索する必要がある。
今回紹介したアプリで、Star Walk TM 2とExoplanetは無料で使える。星の観測をするには寒いかもしれないが、アプリを活用することによって暖かい家の中でも利用者はそれぞれが自分なりに新しい発見ができるはずだ。
(経済部 矢崎日子)
[日本経済新聞夕刊2017年1月12日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。