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「8割でOK」の心構えを

今年は仕事もプライベートも充実した1年にしたい。カギは限られた時間をうまく使う時間管理術だ。仕事に加え育児、介護、社会活動なども上手に乗り切る時間管理の達人たちに、誰でもすぐ実践できる技を選んでもらった。

達人たちに共通するのは「プライベートの時間を確保しながら仕事に全力投球する」という考え方だ。その方が仕事へのモチベーションも上がる。整理整頓してモノを探す時間をなくすなど、生活を見直す契機にもなる。

ただし効率化のやり過ぎには注意したい。まじめな人ほど全ての役割に全力投球しなければと思いがちだが、達人の多くは「完璧を目指さず、8割でOK」と打ち明ける。自分にできそうな技を、まずは気軽に取り入れてみよう。

1位 プライベートの重要イベントは年始にブロック 550ポイント

「ライブがあるのに残業で行けない」「子どもの運動会があるのに資料作りで出られない」。仕事が入り、楽しみにしていた時間をなくすことはよくある。そんな人におすすめなのがこの方法だ。

年始や年度初めなどプライベートの大切な用事が分かった時点でカレンダーや手帳にしっかり書き込む。その日は「仕事をしない日」と決め、仕事がかぶらないよう中長期的に日程調整する。もちろん緊急時は仕事優先だが「NG日を意識すると前後の仕事の進め方も変わり、おのずと段取り力が身についてくる」とコヂカラ・ニッポン代表の川島高之さんは話す。

川島さんは一時期、企業のトップを務めながら、家事や育児にも積極的に参加し、子どもが所属する野球チームのコーチやNPO活動までしていた。貯蓄のために給料を天引きするような感覚で「365日の時間の中からプライベート分を天引きし、残った時間で仕事をこなす発想に切り替えるとすべての役割に注力できた」。

2位 1日のうち2~3割は空けておく 460ポイント

1日の仕事のスケジュールを立てる時に覚えておきたいのが「余裕2~3割ルール」。朝から晩までびっしり予定を組むのではなく、2~3割は空き時間を作っておく方法だ。

東レ経営研究所主任研究員の渥美由喜さんは「仕事は平均で2~3割、突発的に発生するもの」と分析する。予定に余裕がないと「上司に急に依頼されても時間内に対応できず、残業せざるを得なくなる。プライベートの時間も削られ悪循環になる」。

渥美さんによると「タイムマネジメントが好きな人ほどスケジュールを詰め込みすぎる傾向がある」。中長期的に進める業務も、1日単位では余裕を意識したスケジュールで組もう。

3位 スケジュール表にはその日の具体的な業務を書く 455ポイント

新しい仕事が入った時、進捗状況をどう管理しているだろうか。ビズアーク時間管理術研究所社長の水口和彦さんがすすめるのは、スケジュール表の日付欄に、その日行う業務内容を細かく書き込む方法。締め切り日を書くだけではなく、締め切りに向けてこの日はこれをやる、この日はこれ、など具体的な作業内容を書いておく。進行管理も同時にできる技だ。

企業向けに時間管理の研修なども行うインソースの江崎志穂さんは「手帳に書いた後、内容を忘れるようにしている。気がかりなことがあると新しい発想が生まれにくい」と明かす。仕事が発生した時に書き込むのがおすすめだ。

4位 高機能家電で家事を効率化 450ポイント

乾燥機能付き洗濯機、ロボット掃除機、高機能オーブンなど機能が多様な家電への投資をすすめる専門家は多かった。リクルートエグゼクティブエージェントの森本千賀子さんは「長い目で見れば家事効率が上がり、リターンは大きい」と話す。森本さんは子ども2人を育てながらヘッドハンティングの仕事をこなし、週末には講演やNPO活動に大忙し。帰宅時間が不規則なので、干す手間が省ける洗濯乾燥機は重宝している。

「大きな仕事を終えた時に、ご褒美に高級トースターを買ったこともある」と森本さん。家事も楽しく、仕事のモチベーションも上がり、一石二鳥という。

5位 スケジュール帳は1つに 400ポイント

スマートフォンのアプリ、パソコンのエクセル表などスケジュール管理のツールが増えているが、自分の予定は1つにまとめるのがおすすめだ。イー・ウーマン社長の佐々木かをりさんは「複数に分けていると、約束を忘れるなどミスをしやすい」と話す。

佐々木さんが愛用するのは「アクションプランナー」という1週間の予定が見開きになったA5サイズの手帳。曜日で縦に7等分に分けられ、それぞれ30分単位でケイ線が引かれている。

6位 メールは単語登録などを使い返信時間を短縮

メールの返信には労力がかかる。1日平均200通受け取る森本さんは、送信先を「社外」「社内」などに自動で振り分ける機能を使う。返信を書く時は、よく使う単語を登録して、数文字打つと自動で文章が出るようにしている。「スマホで簡単な返信をする時は音声入力ですると時間短縮になる」(グローバルステージ代表の大洲早生李さん)

7位 メールを開く時間帯を決める

メールが届くと、仕事を中断して内容を確認する人は多い。ファザーリング・ジャパン理事の林田香織さんはメールを見る時間帯を大まかに朝昼晩の3回と決め、そのタイミングで返信する。「届くたびに対応すると仕事の効率が鈍る」。急ぎで確認が必要なメールを待つ時には使えない技だが、メールに振り回されない心得として参考になる。

8位 困った時に相談できる人を確保

仕事でもプライベートでも解決策を探る時に頼りになるのが人脈だ。家事代行、ベアーズ副社長の高橋ゆきさんは人とのつながりを大切にする。日ごろからいろいろなタイプの人と接するようにしてみよう。

9位 「飲み会NG」などキャラを設定

「プライベートが優先」など上司や同僚に対して自分の立ち位置を示し、職場の飲み会に誘いにくい雰囲気を作る。仕事に加え、育児、介護と忙しい渥美さんが、誘いを断る心苦しさもあって実践していた。


10位 苦手な家事は外部に

3人の育児をしながら社長業もこなすサイボウズ社長の青野慶久さんは月2回、風呂など水回りの掃除を家事支援会社に委託している。「水回りの掃除が苦手だったので頼んだらストレスも減った」

◇     ◇

スキマ時間もフル活用

時間管理の達人たちは、電車での移動中などちょっとしたスキマ時間もフル活用している。東レ経営研究所の渥美さんのおすすめはスマホのタイマー機能。あらかじめ降車駅までの時間を調べておき、バイブレーションで時間を知らせる設定にしておく。「乗り過ごす心配をせずに作業に集中できる」

移動中は仕事以外のことをすると決めている人もいた。サイボウズの青野さんは「必ず英語の勉強」、コヂカラ・ニッポンの川島さんは「睡眠か読書の二択」。川島さんは「ゲームやSNSをダラダラしない」と話す。今年は通勤中の過ごし方も見直してみたらどうだろう。

◇     ◇

ランキングの見方 数字は選者の評価を点数化。

調査の方法 仕事や育児、介護、社会活動など複数の役割をこなす選者11人に時間管理術を取材。58の技の中からすぐできる有効なものを選んでもらった。選者は以下の通り(敬称略、五十音順)。

青野慶久(サイボウズ社長)▽渥美由喜(東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス主任研究員)▽江崎志穂(インソース営業本部チーフ)▽大洲早生李(グローバルステージ代表)▽川島高之(コヂカラ・ニッポン代表)▽佐々木かをり(イー・ウーマン社長)▽高橋ゆき(ベアーズ副社長)▽林田香織(ファザーリング・ジャパン理事)▽水口和彦(ビズアーク時間管理術研究所社長)▽村上健太(ワーク・ライフバランスコンサルタント)▽森本千賀子(リクルートエグゼクティブエージェント エグゼクティブコンサルタント)

[NIKKEIプラス1 2017年1月7日付]

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