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鍵盤と歌で日常語る 天才「アッコちゃん」原点ぶれず

シンガー・ソングライター 矢野顕子さん

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NIKKEI STYLE

1950年代終わりの青森で、1人の幼児が夢中でピアノに向かっていた。母親に今日の遠足で何があったかを伝えるために。言葉はなくピアノの演奏だけで、自分の1日を語ろうとしていた。後に天才とうたわれる「アッコちゃん」の原点がそこにあった。

「幼稚園児だったから、まだそんなにいろんな音楽は聴いてない。だから弾いたのはモーツァルトの亜流みたいなものだったはず。でも自由な即興の演奏だったのは今と変わらない」

2016年はアルバム「JAPANESE GIRL」でデビューして40周年。11月末に全キャリアを総括したベスト盤「矢野山脈」を出し、90年から拠点にしているニューヨークから帰国して、たくさんのコンサートを開いた。

「デビューアルバムは、日本人だし日本で生まれ育ったのだから、日本に根差した音楽を作ろうとした。それが新しい日本のロックなんだと」。藤山一郎「丘を越えて」のカバーや、津軽民謡をモチーフにした曲を収め、太鼓や尺八など和楽器を使った。視線は世界にも向いていた。曲の半数はロサンゼルスに出向き、米西海岸を代表するロックバンド、リトル・フィートと一緒に録音した。

「(中心人物の)ローウェル・ジョージはじめ、譜面を読まずにセッションを繰り返し曲を体で覚えていく人たちで、すごく楽しい録音だった」と振り返る。手応え十分だったが、反響はそれ以上。「随分高く評価していただいて。自分のレコードを買ってくれる人がいるんだって驚いた。自分はどうしたらピアノをうまく弾けるかしか考えてなくて、表に出るタイプじゃないって思ってたから」

自由奔放だけれど、こだわりが強い職人気質。中学生から没頭したジャズの影響は大きい。中学を卒業すると親元を離れ、ジャズを演奏するために東京の青山学院高等部に入学、軽音楽部に所属した。先輩のつてでレストランやジャズクラブに出演するうち「すごい天才女子高生がいる」とピアニストの山下洋輔らが話題にするようになった。

「ジャズピアニストを目指したけれど、結局、違う方向に進もうと思った。でも一番好きなのは今でもジャズ」。お気に入りの曲「フリーダム・ジャズ・ダンス」が入っているサックス奏者フィル・ウッズのレコードは長年の愛聴盤だ。

一心にピアノと向き合う姿が今月6~20日に公開される映画「SUPER FOLK SONG ピアノが愛した女。」で見られる。92年に出した弾き語りアルバムの録音風景を収めたドキュメンタリーの24年ぶりの再上映だ。かたくなにテープ編集を拒み、納得いくまで同じ箇所を繰り返す。鍵盤と格闘しているようでも、幼児の時と変わらず戯れているようでもある。

ピアノも歌も作詞作曲もみな日常の生活体験に根差している。「ごはんができたよ」「ラーメンたべたい」といった代表曲は「日本で一番食べ物をおいしそうに歌う」ともいわれた。「私は絵空事が歌えないから、全部自分で思っていることや現実を歌ってきた。ご飯を食べるのは自分にとって恋愛よりも身近な現実。何でみんなやらないのかしらね」

◇     ◇

日本ロックの今昔つなぐ

ステージに登場した矢野がピアノの椅子に座ると、「ひとつだけ」のイントロが風のようにふわりと流れる。その瞬間、大きな拍手が沸いた。40周年を締めくくる「さとがえるコンサート」が昨年12月に全国5会場で開かれた。

ニューヨークに移住した後、年末に帰国して開く「さとがえるコンサート」はもう21年目になった。2014年からは初アルバムにも参加したベースの細野晴臣、ドラムの林立夫、ギターの鈴木茂のグループ「TIN PAN」との共演が続く。3人とは1976年のデビュー時のツアーも一緒に行った。矢野は「40年前と同じだね」と感慨深げな表情を浮かべた。

オリジナル曲のほか、細野と鈴木がかつて組んでいたはっぴいえんど「12月の雨の日」なども披露した。作曲したのは13年12月30日に急逝した大瀧詠一。東京公演ではくるりの岸田繁がゲストで参加した。日本のロックの過去と未来をつなぎ、40年の時空を飛び越えたような1日だった。

(大阪・文化担当 多田明)

[日本経済新聞夕刊2017年1月4日付]

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