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手術支援ロボット「ダヴィンチ」、主流への道着々

腎臓がんも保険適用 部分切除、細かな操作で

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NIKKEI STYLE

手術支援ロボット「ダヴィンチ」による外科手術の裾野が広がってきた。4年前の前立腺がんに続き、今年4月から一部の腎臓がんでも保険が使えるようになった。従来の手術に比べて細かな操作ができ、より安全で正確な手術が可能な半面、高額な費用がネックで利用できる人は限られていた。有効性を示して保険適用の範囲を広げようと、胃がんなどでも臨床試験が進んでいる。

東京都練馬区の主婦Aさん(31)は3年ほど前、腹膜炎のためコンピューター断層撮影装置(CT)検査を受けた際に腎臓に小さな腫瘍が見つかった。

手術では、先端にカメラがついた腹腔(ふくくう)鏡で患部を確認しながら切除していく腹腔鏡手術が普及している。しかしAさんの腫瘍は同手術で取り除くのが難しい場所にあった。「ロボット手術ならば可能」。こう医師に伝えられ、2015年3月に腫瘍の部分切除に踏み切った。

決断する前は「腫瘍のある腎臓を全部とらなくていいのだろうか」と不安を感じたこともあったが、医師から「若いので将来を考えて腎臓の機能を残した方がよい」と説明され、納得したという。

腹腔鏡では難しく

早期の腎臓がんは自覚症状がなく、8~9割は人間ドックや健康診断などで見つかる。かつては腎臓を全部摘出することが多かったが、今ではがんのみ取り除く「部分切除」が国内外の学会のガイドラインで推奨されている。治療成績は全摘と同等以上という。

2個ある腎臓の片方を摘出すれば腎機能は30~50%低下するが、部分切除なら平均10%ほどという報告もある。腎機能が落ちると脳梗塞などの脳血管障害や心臓病になりやすいという研究成果もあり、「治療成績が同じなら腎臓を残した方がよいということになった」と聖路加国際病院(東京・中央)の服部一紀・泌尿器科部長は話す。

ただ腹腔鏡による部分切除は技術的に難しい。切除後の縫い合わせの際に血液をいったん止めるが、その時間は30分程度が限度とされる。場所によっては時間内に終えられない場合もある。

そこで注目されるのがダヴィンチを使った手術だ。「緻密な操作ができ、安全に実施できるようになった」と順天堂大学医学部の堀江重郎教授は指摘する。

前立腺がんに続き、4月に大きさが7センチ以下の腎臓がんでも保険適用された。従来、腎臓がんでは入院費などを含め120万~150万円ほどの費用を自己負担しなければならなかったが、3割負担なら45万円前後で済むようになった。高額療養費制度を利用すればさらに負担は軽減され、開腹手術と同程度になる。

ダヴィンチは腹腔鏡の進化版だ。4本のアームをおなかに開けた小さな穴から体内に入れる。1本は3Dの高精細カメラで、残る3本に鉗子(かんし)などの器具を取り付け、医師は手術台から少し離れた場所にある操作機「コンソール」に座って操る。モニターでは患部が立体的に把握でき、手術しやすい。手ぶれを防ぐ機能もある。

腹腔鏡の手術器具の先端部と違い、器具には関節があり回転させることができる。より細かな手術が可能で、術後の合併症などを減らせる可能性があるという。

胃がんも視野に

保険適用の範囲をさらに広げようと、胃がん切除などの臨床試験が進む。

現在、胃がん切除の臨床試験は藤田保健衛生大学など15施設が実施中。「腹腔鏡手術の合併症の発生率を半減できるのではという仮説を立てて取り組んでいる」(同大学医学部の宇山一朗主任教授)

全体で330人の臨床試験が近く終わり、再来年4月の保険適用を目指し、データのまとめに入る。同大学ではダヴィンチの研修施設もあり、操作法の習得などにも力を入れている。

自費診療での大腸がん手術などを手掛ける聖路加国際病院消化器・一般外科部長の岸田明博部長は「ロボット手術は外科医が高齢になっても現役で活躍する道を開くことにもつながる。今後は主流になるだろう」と予測する。

◇     ◇

日本に228台、価格が課題

「ダヴィンチ」は1999年から米国のインテュイティブ・サージカル社によって販売が始まった。日本では2009年に医療機器として承認され、12年に前立腺がんの全摘手術に健康保険が初めて適用された。

6月末時点でダヴィンチの導入台数は世界で3745台。うち日本は228台だ。操作法などについて研修を受けて手術ができる資格を持つ医師は、9月時点で1628人にのぼる。ダヴィンチを使った手術は昨年末までに計約3万件行われた。

保険適用は前立腺がんと腎臓がんに限られる。胃がんや子宮がんなどでは先進医療として保険診療との併用が認められるが、大半のケースは全額自己負担となり、費用はおおむね200万~300万円かかる。

1台当たり2億5000万円程度と高額で、手術器具も使い捨てで高価なのが課題だ。腹腔(ふくくう)鏡に比べ合併症が少ないなど、費用対効果の点で優位性が認められなければ適用拡大は難しいとみられる。

一方で国内外の他のメーカーが手術支援ロボットの開発に乗り出しており、競争で価格が低下すれば急速に普及する可能性もある。

(西山彰彦)

[日本経済新聞朝刊2016年12月25日付]

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