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そろばんはエンタメだ! 博物館拠点に大会など開催

全国珠算連盟理事長、石戸謙一

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NIKKEI STYLE

珠算教室を約40年経営してきて「そろばんの未来はどこにあるのだろう」とよく考えた。計算に使う道具でとどまれば、電卓に代わられる。事実、そろばんの学習人口は1970年代をピークに急減した。私は「記憶力や集中力を高める」とうたい、逆風下でも生徒数を増やしたが、実務だけに焦点をあてていては珠算界の発展は望めない。

だから私は捉え方を変えた。「そろばんは文化であり、エンターテインメントだ」と唱えるようになった。珠算技能を競う公式大会も、将棋のように競技人口を広げられないか。おじいちゃんが孫に教えるなど、世代間をつなぐコミュニケーションのツールにならないか。計算道具や学びの手段の価値を飛び越えて、もっと日常に根ざしたものになってほしい。

夢をかなえるには、関心を持ってもらう取っかかりを増やすことだ。私は2011年、全国でも珍しいそろばん博物館を千葉県白井市に開館。ここを拠点に、そろばんを使ったスポーツ大会やアート作品コンテストを開くなど、異色の試みで普及にまい進している。

◆―◆―◆

大嫌いだった高校時代

「そろばんは楽しむものだ」。活動の源には体験に基づく思いがある。約50年前、千葉の商業高校で珠算部に入ったのが出合いで、当時はそろばんが嫌いだった。全国大会の上位者を輩出する名門だったが、私が部長のときは成績が悪く、OBに度々活を入れられた。

責められすぎて「そろばんの顔も見たくない」と、卒業後は経理に携わらなくていい電機メーカーの工場に就職した。3年後、知人に誘われて何とはなしに埼玉県の大会に出場。久しぶりにそろばんに触れると、珠(たま)を弾(はじ)く指が何とも滑らかに動いた。国民珠算競技大会(当時)の県代表に選ばれるほどの好成績に「重圧がないと、こんなに楽しいのか」と驚いた。

◆―◆―◆

珠で飾った神輿で祭り

そろばんへの愛を初めて自覚したような気持ちで、その後の私は退職や大学進学などの曲折を経て73年、そろばん教室を経営する会社を設立。以来、この道一筋だ。

10年には理事長を務める「全国珠算連盟」を財団法人に。そろばん愛好者の拡大と、教室を初めて開いた白井市の活性化の2つの夢に向かって動き出した。11年、収集した古今東西のそろばんや関連文献の約1600点を展示する「白井そろばん博物館」をオープン。発信基地ができ、長年温めてきたアイデアを次々と実行した。

開館に合わせて行ったのが「はしそろピック選手権大会」。そろばんの珠をばらして容器に入れ、それを箸で別の器に移す。1分間で移した数を競うスポーツで、私が考案した。開催当日は老若男女の約300人が集まり、あちこちで歓声が上がって大盛況だった。「はしそろピック」は現在まで継続して開催し、市外からも参加者が集う。

さらに日本では交通安全などを願って、路傍に石像の神を祭る道祖神の風習があるが、私はそれをアレンジ。そろばんを持った道祖神を市内各所に5年がかりで17体設置し、それを巡るスタンプラリーなどを行った。

他にも、そろばんを題材にした絵画や工芸の作品を全国から募るアートコンテストを開いたり、珠で飾った「そろばん神(み)輿(こし)」で市内を練り歩く"そろばんづくしの夏祭り"を行ったり。挙げればきりが無い。

◆―◆―◆

弾く音のぬくもり魅力

「でも、だいたいが珠算に関係ないでしょ」。そういう反応があるかもしれないが、目を向けてもらう契機になればいいと考えている。取っかかりの間口を大いに広げて「楽しそう。やってみようかな」と思ってくれる人が少しずつでも増えればいい。そろばんの手触りや弾く音のぬくもりに魅せられる人は、きっと多いはずだから。

近ごろは、文化的な価値を高めるための活動にも励んでいる。江戸時代の数学者、武田真元が残したそろばん指南書の現代語訳に、白井市文化課の協力を得て取り組み、出版を計画している。

そろばんは室町末期に中国から伝わり、江戸期には寺子屋の必須の学習ツールとして発展した。和算書としても優れた本が残されたが、残念ながら多くが日の目を見ていない。それらを掘り起こし、現代語の本にして世間に広めたい。文化として認知されるには歴史的な積み重ねを証明する必要があり、普及との両輪で精を出していく。

(いしど・けんいち=全国珠算連盟理事長)

[日本経済新聞朝刊2016年12月26日付]

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