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スケソウダラ生かせ 釧路版フィッシュ&チップス 魚のフライ+ポテト+昆布チップス

2016/11/30付 日本経済新聞 地域経済

フィッシュ&チップスの試食会では洋風メニューが提案された(釧路市の釧路プリンスホテル)

釧路プリンスホテルのレストラン「トップ オブ 釧路」で11月21~27日、「フィッシュ&チップス」の試食会が開かれた。「クリームやオニオンを入れてグラタン風にしました」。メニューを開発した笠井康行・洋食調理長は語る。フィッシュ&チップスは白身魚のフライにポテトフライを添えたもので、英国を代表するファストフードだ。

試食会の主催は釧路市地域雇用創造協議会。同会は2014年7月、市内で地元食材と観光資源を発掘、商品化し、雇用につなげる事業を開始。釧路で水揚げが多いスケソウダラに目を付けた。

■巻いて食感向上

「MADE IN KUSHIRO」の文字も

「スケソウダラの用途はすり身が主体だが、市内に加工業は少ない。地場の素材を地元で加工、消費する流れができれば域内循環と雇用につながる」(九笹基プロジェクトリーダー)。そう考えて幅広い層に受け入れられそうなファストフードに着目、フィッシュ&チップスにたどり着いた。

厚生労働省の委託事業として14年度から3年計画で進め、最初の2年間は長期保存でき流通可能なパッケージ型商品を開発した。今年2月の成果報告会では、3枚におろしたスケソウダラを専用の皮で春巻きのように巻いて、フリーズドライするノウハウが披露された。スケソウダラは水分が多く「食感を出すのが難しかったが、皮で巻くことで食感が良くなった」(同)

魚の加工調理は、水産加工会社、釧路フィッシュ(釧路市)の平野勝幸社長やレストラン「イオマンテ」(同)の舟崎一馬社長がアドバイザーとして協力。ポテトに加え、付け合わせで出した昆布チップスも好評で魚のフライ、ポテト、昆布の基本的な商品構成が固まった。現在、市内の事業者と製造に向け協議中だ。

■1月レシピ披露

16年度は市内飲食店向けのレシピ作りに取り組んでいる。まず阿寒湖温泉のホテル、鶴雅ウイングスと、釧路プリンスホテルでそれぞれのメニューを出し、来場者の調査をもとに改良を重ねた。「市内の飲食店でも採用されるレシピにつなげたい」(協議会の前田淳子実践支援補助員)。ホテルでの試食会を経て、17年1月半ばには公開セミナーを開き、数種類のレシピを披露する予定だ。「認知度は高まってきている。成果を民間に移転し、加工品による地産地消で市を盛り上げたい」(九笹氏)

地元企業もフィッシュ&チップスを売り出し始めている。その一つが市内で飲食店を展開する駒形家グループ。「漁師の方から『スケソウダラはたくさんとるのに市民になじみが薄い。何とかならないか』と言われた」(白幡博社長)のがフィッシュ&チップスに取り組んだきっかけだ。1次加工したタラを仕入れ、独自の粉を使ってザンギ風に揚げて出す体制を整えた。

「地元で原料調達から加工、販売までできる体制を築き、全国に出回るようになれば外貨獲得にも貢献できる」(同)。今年から販促品として売り出すなど普及に知恵を絞っている。

■釧路で水揚げ量多いスケソウダラ 金額は…
2015年の釧路管内の水揚げ量は14万3千トン(前年比約15%減)、金額は293億円(同約2%減)。気候変動などの影響でサンマの水揚げ量が約6割減と大幅に減るなか、スケソウダラは4万9千トン(同約13%減)と魚種の中で最も多く、伝統的に釧路を代表する魚のイメージが定着している。
一方、スケソウダラの水揚げ金額は31億3千万円(同約10%減)で、昆布、サンマ、サケに次ぐ規模にとどまる。すり身などの原料に回る分が多いためで、「加工度を高め付加価値を向上させることが課題」(釧路市)だ。(野間清尚)

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