旅行・レジャー

日本の歩き方

変わった地形にときめく「地理女子」たち 古地図でタイムスリップ感

2016/11/26付 日本経済新聞 朝刊

「キャットストリート」を散策する女子高生ら(東京都渋谷区)

 NHKの人気番組「ブラタモリ」の影響か、変わった地形にときめく「地理女子」が増えている。路地裏の坂や階段、蛇行する道――。古地図でタイムスリップの感覚を味わう人も。

 東京・原宿。「ブラームスの小径」と呼ばれる閑静な路地で、意外な話題が花咲いていた。

 「今通った道、くねくね曲がってましたよね? 東京オリンピックまでは川が流れていたんです」

 「え、すごーい! 川の上を歩いてたんだ」

 女子学生が見ているのはグルメでもファッションでもなく、原宿の“地形”。手に持つのは地表の起伏などがわかる地形図。お茶の水女子大学で地理学を専攻する学生が女子中高生を案内する街歩きイベントで、日本学術振興会のプログラム「ひらめき☆ときめきサイエンス」の一環だ。

 歴史好きの西脇小笑さん(15)は「入り組んだ道にわざと迷い込むのが好き。土地の歴史を知るのも醍醐味」という。案内役の木村翠さん(21)は地理の魅力について「坂や谷を調べると江戸時代の生活の名残などを発見できることが多い。『ポケモンGO』より楽しい(笑)」と語る。

 都心の凹凸地形を歩くサークル活動「東京スリバチ学会」でも、最近女性の参加者が増えている。10月中旬に開催した、渋谷から代官山まで歩く「女子も喜ぶスリバチ半日ツアー」では4日前の告知にもかかわらず15人が参加した。

 円山町の路地裏。「芸者さんの着物の裾が汚れないように階段は緩やかになっているそうです」と、近隣に住む女性参加者(48)の説明に皆うなずいていた。もともと建築が好きな石早咲江さん(38)は「地形にも生活に根ざしたストーリーがある」と話す。

 街歩きでよく使われるのが古い地図だ。京都市在住の自営業、日下部淑世さん(29)は「こちずぶらり」(ATRクリエイティブが開発)という古地図を表示できるアプリを使い二条城周辺をよく散歩する。「京都所司代(昔の役所)があったところは現在も公的な施設が多い。自分だけの発見にわくわくする」

 意外な話を聞いた。「地図は会話のきっかけになる」というのだ。普段も地図帳を持ち歩く女子大生の寺垣沙織さん(20)は鉄道旅で隣に座った見知らぬ中年女性と地図を見ながら出身地の話で盛り上がった。

 地図や地形は思いのほか身近な存在だ。生活に密着したエピソード探しが得意な女性にぴったりなのかもしれない。

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