東京五輪で脚光 埼玉の「彩湖」ってどんな湖?「戸田」隣接、荒川の治水担う

彩湖は水害を軽減する治水と、水を安定供給する利水の役割を持った平地のダムだ
彩湖は水害を軽減する治水と、水を安定供給する利水の役割を持った平地のダムだ

「ここがボート会場になったら景色もきれいでいいね」。湖畔の遊歩道をカップルが通り過ぎた。埼玉県などが2020年東京五輪・パラリンピックのボート・カヌー会場の誘致に乗り出し、一躍有名になった埼玉県戸田市の彩湖。どんな湖なのかを見てきた。

彩湖は荒川貯水池とも呼ばれる荒川河川敷に掘られた池。広さは1.18平方キロメートルあり、「東京を洪水から守り、水を安定供給する役割を担っています」と国土交通省関東地方整備局荒川上流河川事務所の櫛原賢二管理課長。

荒川は台風などで度々氾濫。1910年8月の台風では、流域の堤防178カ所が決壊し、東京の下町のほとんどが泥の海と化した。これを契機に荒川では明治、大正と大がかりな改修が進められた。73年、国は200年に1回程度起きる洪水を安全に流下させることを目的とした荒川水系工事実施基本計画を策定。中流部で洪水調整を行う荒川第一調節池の中の貯水池として彩湖の整備が盛り込まれた。

貯水池機場は洪水時に水につかるため、ポンプや事務所を高い場所に設けている

彩湖は80年に工事が始まり、97年に完成。1060万立方メートルの貯水容量がある。荒川第一調節池全体は04年に完成、3900万立方メートルの治水容量を持つ。ポンプで取水、放流する貯水池機場や水門などが整備され、洪水時には荒川の水量を減らすために水を取り入れる。99年8月の熱帯低気圧に伴う戦後2番目の記録的な洪水では、最大1秒当たり約690立方メートルの洪水調整を行い、調節池が水で満たされた。2007年9月の台風9号でも調整を行った。

首都圏は頻繁に水不足に悩まされるため、彩湖は利水機能も大きな役割を果たす。荒川の水が足りないときには、彩湖から補給する。彩湖の施設を管理する同事務所西浦和出張所の光部博出張所長は「秋ケ瀬取水堰(ぜき)からの水道用水を確保するだけでなく、下流の水量を維持することも大切」と話す。

彩湖は64年の東京五輪でボート会場となり、ボートの聖地として知られる戸田ボートコースにも近く、市が市民レガッタ教室を開くほか、ウインドサーフィンを楽しむ人の姿も見られる。湖畔にある彩湖・道満グリーンパークは、89年に整備され、彩湖完成に合わせ66.7万平方メートルに拡大した。週末はバーベキューや彩湖を周回するサイクリング、ジョギングなどを楽しむ人でにぎわい、野球場やテニスコート、釣り堀やドッグランなどもある。

戸田市みどり公園課の菊池利春課長は「最近はスポーツバイクで人気。遠方から来る人もおり、推計で年間100万人以上に利用されている」と話す。ただ、自転車と散歩を楽しむ人のトラブルも増えているといい、「マナーにも気をつけて楽しんで」と呼びかける。

■荒川の草花や鳥、虫を楽しめる環境再生も
荒川第一調節池全体の広さは5.8平方キロメートルで、治水容量は25メートルプールの約13万倍。彩湖の水を出し入れするポンプなどを備える「貯水池機場」は浸水を避け高い場所に設置されている。
戸田市はグリーンパーク内に「戸田ケ原自然再生エリア」を整備。荒川の草花や鳥、虫を楽しめる環境の再生に取り組んでいる。
彩湖(荒川貯水池)のダムカードは、彩湖自然学習センターか荒川上流河川事務所西浦和出張所でもらえる。
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