時限病棟 知念実希人著脱出ゲームかつ医療ミステリ

(実業之日本社文庫・593円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

そこは廃墟(はいきょ)になった病院。閉じこめられた男女5人。6時間後に爆薬がセットされ、或(あ)る事件の真犯人を究明しなければ脱出できない。見も知らぬはずのメンバーだったが、隠れた関係が次第に明らかになる。

監禁リアル脱出ゲームと犯人当てパズルの合体。この著者の得意技が見事に決まった。

ゲーム・モード一色に腰の引ける読者は多いかも。だが後半にいたると「小説」の奥行きに納得する。なぜ病院が舞台なのか。過去の或る事件の深層には何があったのか。うむ、これはじつは医療ミステリなのだ。

著者は、本書と『あなたのための誘拐』と、人工的ゲーム色の強いサスペンスを書き下ろしで連発した。純度も重量もこちらが上。

★★★★

(評論家 野崎六助)

[日本経済新聞夕刊2016年11月17日付]

★★★★★ 傑作
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…

時限病棟 (実業之日本社文庫)

著者 : 知念 実希人
出版 : 実業之日本社
価格 : 640円 (税込み)

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