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毎年なぜか気分どんより… 冬の鬱病

日光浴で予防、青色LEDで治療

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NIKKEI STYLE

冬が近づくと気持ちが落ち込んだり、体がだるく疲れやすくなったりし、春になると治る。そんな症状が繰り返すようなら、いわゆる「冬の鬱病」、季節性情動障害かもしれない。冬に日照時間が減ることによって引き起こされる病気で、光を浴び、軽い運動をすることで改善が期待できる。早期の診断と正しい対処がカギを握る。

兵庫県に住む40歳代の男性は今から10年ほど前、10月の後半から体がだるくなり、気分がふさぐことに気付いた。3月に入ると症状は治まる。毎年その繰り返しで、近くの医院に行ったが原因がわからなかった。

数年後に兵庫医科大学病院を受診し、季節性情動障害と診断された。医師の指導で毎朝通勤前に約1時間、日光を浴びながら近所を散歩する習慣をつけたところ、症状は改善した。今も毎年気分は落ち込むが、ひどく悪化することはなく、仕事を続けている。

男性の主治医である林田和久講師は「毎年、散歩を始める時期を見極めて指導している」と話す。カギとなるのは日照時間だ。季節性情動障害は、日に当たる時間が短くなることで発症する。

日光を浴びると、感情を制御し精神を安定させる神経伝達物質のセロトニンが脳内で盛んに分泌される。だが冬に日が短くなるとセロトニンが不足し、気分が落ち込んだり、体がだるくなったりする。日が長くなる3月末ごろになると回復し、夏は普通に過ごせるが、冬が近づくと再び症状が悪化する。日照時間の少ない梅雨などに発症する人もいる。

◇     ◇

2013年に米国精神医学会がまとめた最新の診断基準によれば、季節性情動障害は繰り返し発症する「反復性鬱病」の一種だ。1年のうち特定の時期に発症し、それを過ぎると治ったり、鬱とは反対の躁(そう)状態になったりする。直近の2年間で2回発症し、ストレスなど他の要因がなければ季節性情動障害と診断する。

患者は冬の日照時間が短い高緯度地域に多い。米国は、南部のフロリダ州で症状がみられる人は人口の約1%にとどまるが、北極に近いアラスカ州では約10%に達するとの報告がある。関西医科大学の木下利彦教授は「日本でも九州や近畿には少なく、東北や北陸などの日本海側に多いとみられる」と話す。名古屋大学などが03年に発表した調査では、北海道や秋田では3~4%台と高く、大阪や名古屋は1%未満だった。

気持ちの落ち込みや体のだるさ、疲れやすさといった症状はストレスなどをきっかけに発症する一般の鬱病と共通しているが、過眠や過食など正反対の症状もある。炭水化物や甘い物が食べたくなり体重が増えることも多い。患者は男性より女性に多い。

思い当たる症状がある人は、年間を通じた体調の変化をチェックしてみよう。特別な理由もないのに毎年冬になると気分が落ち込む人は、この病気が疑われる。

自分でできる最も手軽な対策は、日光を浴びながら軽い運動をすることだ。光や運動にはセロトニンの分泌を増やす作用がある。毎朝1時間ほど散歩をするとよい。筋力トレーニングやマラソンなど体への負荷が大きい運動は、ストレスが大きく不向きだ。朝に散歩の時間が取れない場合は、通勤や通学時に歩く時間を確保するよう工夫する。

医師に相談する場合は、精神科か心療内科を受診する。散歩で症状が改善しない場合は、朝起きた後に青色発光ダイオード(LED)などの強い明かりを浴びる「高照度光療法」という治療がある。1日1回、明るいオフィスの20倍強に当たる1万ルクス程度の白色灯の光を約30分浴びる。青色光ならより効果が高く、750ルクスでよい。

多くの場合、治療を始めて1週間以内に効果が出る。光療法を手掛ける滋賀医科大学の角谷寛特任教授は「普通の卓上ランプを毎朝30分ほど顔に向けても効果がありそうだ」と話す。

季節性情動障害で薬を使うことは比較的少ない。抗うつ剤は一般に、投薬を始めてから効果が出るまでに2~3カ月かかり、その前に春が来て症状が軽減することが多いからだ。

ただし散歩や光療法での効果を補うために、抗うつ剤を使うケースもある。多くの場合、選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を1日1~2回服用する。関西医科大の木下教授は「最近の抗うつ剤は脳の神経細胞を保護する作用もある」と話す。ただ抗うつ剤には眠気や吐き気などの副作用がある。特に20歳代以下の若年世代に起きやすい。

季節性情動障害は、すぐに治る病気ではない。様子を見ながら、根気よく治療を続ける必要がある。

◇     ◇

体内時計の乱れも影響 職場や家族の理解が助けに

季節性情動障害には、セロトニンの減少だけでなく、体内時計をつかさどるホルモンである「メラトニン」の分泌異常がかかわっているとみる専門家もいる。冬に日照時間が短くなると、メラトニンの分泌のタイミングが遅れたり、過剰に分泌したりするため、体内時計が狂って発症するとの見方だ。

この場合も、朝の決まった時間に日光を浴びたり、光療法を行ったりすることで、体内時計を正常に調節し症状を軽減できることがわかっている。

季節性情動障害などを含むうつ病は、発症の仕組みが十分に解明されていない。科学的証拠が得られている朝の散歩や光療法のほか、食品やサプリメントなどにも効果があるのではとみる専門家もいる。魚油に多く含まれるエイコサペンタエン酸EPA)や、不飽和脂肪酸を含む食品やサプリメントが候補だ。

うつ病は、重症化すれば自殺のリスクもある心の病気だ。侮らずにしっかり対処する必要がある。治療や重症化の予防には本人による工夫のほか、職場の同僚や家族の理解も大きな助けになる。

(草塩拓郎)

[日本経済新聞朝刊2016年11月13日付]

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