闇の平蔵 逢坂剛著
既刊よりもミステリー色
逢坂剛の長谷川平蔵シリーズ第3弾で、これまでのどの巻よりミステリー色が強い。
表題作は、悪党どもを処罰するのと同様、捕り方や役人を処罰する闇の平蔵なる者が、仲間を募って暗闘をはじめる。
闇の平蔵の正体もさることながら続く「可久あるべし」「あいやも半次郎」は、一続きの物語としても読め、作者の別シリーズ〈重蔵始末〉とリンク。平蔵は、松平左金吾から魅力的な密偵・可久を譲り受ける。
この他にも、虚々実々の陽動作戦が展開する「飛鳥山」等、秀作揃い。
中でも圧巻なのが、巻末に据えられた「音締めの松」で、この作品の伏線は相当の読み巧者でなければ見抜けないだろう。
★★★★★
(文芸評論家 縄田一男)
[日本経済新聞夕刊2016年11月10日付]
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
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