大判マフラー・チーフ… 男の着こなし、今冬は立体感
ウォームビズはVネックセーター
ウォームビズも始まり、冬の衣服の選択が気になる時期がやって来た。ビジネスマンの多くは、時間のなさや面倒くささから服への関心があまり高くない。とはいえ服はその人の印象を左右する。ビジネスマンの冬の着こなしポイントを専門家に教えてもらった。
急に寒くなった10月の週末。メーカー勤務の男性(26)は東京都内の百貨店の紳士雑貨コーナーでシルクウールの大判マフラーに目を留めた。既に持っているマフラーは、小さくかっちりしていて、結ばずスーツやコートのえり元にたくしこんで使っている。防寒用には十分だが、最近の雑誌などで目にする大判タイプを格好よく巻く姿におしゃれ心が刺激される。
「冬はスーツやコートなど面積が大きい衣服をまとうため、見た目がのっぺりしがち」と話すのは阪急メンズ東京(東京・千代田)で会員顧客向けにスタイリングアドバイスを手がけるスタイリストの西ケ峰充宏さん。そんな場合のポイントは「立体感を出すこと」だという。大判マフラーは一巻きすれば奥行きが生まれ、同時に顔周りに色が加わることで印象も変えられる便利なアイテムだという。
巻き方多彩に
巻き方の多彩さもサイズの大きさならでは。幅を細く折ってから首に一巻きして両サイドを垂らす基本形から、ネクタイのように結ぶプレーンノット、輪を作った先に端を通すワンループ巻き、そこからさらに一手間を加えたミラノ巻きなどがビジネスマン向けだ。
鮮やかな色のマフラーをポイントにすることもできるが、これは上級者向け。やはり黒やグレー、青系の無地が無難でとっつきやすいという。
見た目に立体感を演出するには、ポケットチーフも効果的だ。チーフの色柄の種類は多いが白なら万能だ。「男性ビジネスファッション小物は風合いや質感が大切」(西ケ峰さん)なので、色やデザインに目が行きがちだが注意して選びたい。
相手・場所を考慮
室内の暖房を20度に抑えた中で快適に過ごせる装いを推奨するウォームビズが今月から始まった。ウォームビズへの心得として「自分が寒くなく快適ということだけ重視するのでなく、場面や相手を想定した服選びが大切」と話すのは、男性向けファッションコンサルティングを手掛けるライフブランディング(東京・港)社長の吉田泰則さんだ。「相手や場所を考慮するのがビジネス服選びの基本」だからだ。
吉田さんが男性に薦めるウォームビズアイテムは、長袖ウールセーターだ。えりはネクタイの収まりの悪い丸首でなくVネック、スーツの上着を着ても着膨れしない細身で薄手のものがよいという。「普段買うサイズと、もう1段階小さいサイズの両方試着してほしい」と吉田さん。上着の中でもたつかないサイズを選ぶことがコツだ。
「濃い色、淡い色、差し色など何種類か色をそろえておけば、その日の気分や会う相手によって印象を変えられる。着こなしも楽しくなる」(吉田さん)。具体的には濃い色は黒や紺、チャコールグレー、薄いグレーや水色といった淡い色、差し色はラベンダーやパープルがお薦めとのことだ。
保温にはスリーピースのベストも使えるが、堅苦しさからかあまり人気がない。セーターに代えてカーディガンを着るのは、デザイン上、スーツの上着のV開き部分や、ボタンの位置とのバランス取りが難しくなるため、おしゃれ上級者向けだという。
立ち居振る舞いへの気配りも大切だ。ビジネスイメージコンサルタントの城戸景子さんは「冬に限らないがスーツのボタンは座る時外し、立つ時に留めるのが基本。分かる人には分かるルール」と指摘。耳の痛い男性が多そうだ。
脱いだ後の扱いが厄介なコートは、「訪問先の玄関前で脱いだら、肩を合わせて裏返した中表の状態で腕にかける」ことを提案する。外のほこりも持ち込まず、服のしわも抑えられる上、見た目もスマートだ。「ビジネスの場で服装はおしゃれより身だしなみ」と城戸さんは基本原則を忘れないよう指摘していた。
(ライター 村樫 裕理子)
[日本経済新聞夕刊2016年11月7日付]
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