地域・時間超える「ラジコ」 スマホで全国のラジオ
「距離も時間も関係ない。これを聞いていると自分がいつどこにいるのかわからなくなる」(50代男性)。ラジオに慣れ親しんできた人たちが大いに感動しているサービスが「radiko(ラジコ)」だ。
ラジコはラジオ放送をスマートフォンやパソコンで聴けるサービス。インターネット回線を利用し音質がいい。2010年4月に始まり、現在は毎日約100万人が利用している。
そこに11日から、過去1週間以内の番組を聴ける機能「タイムフリー」がスタートした。全国の番組を遡って聴くことができるとラジオファンを熱狂させている。
ラジコには3つの魅力がある。
魅力(1)地域を超える ラジコは地元の放送なら無料だが、月350円払うと全国の加盟ラジオ局を聴ける「エリアフリー」という機能がある。学生時代に東京で慣れ親しんだ番組を地元でも聴くようになったという話も聞くし、プロ野球日本シリーズ「広島対日本ハム」ではそれぞれの地元局が正反対の視点で放送しているのが楽しめる。
また、名古屋ではヒット曲「金太の大冒険」で有名なつボイノリオさんが、青森では津軽弁詩人として知られる伊奈かっぺいさんが、元気に放送を続けていることがわかる。
魅力(2)時間を超える しかも「タイムフリー」が始まったことで、おもしろかったと知ってからでも番組を聴ける。ある芸能リポーターは「ラジオは話題の宝庫」という。テレビでは触れない深い話をラジオではよく話すからだ。最近では、世界で大人気になった「PPAP」を歌うピコ太郎の近況を、爆笑問題がいち早く明らかにしていた。
魅力(3)オススメできる ラジオには地元の専門家や当事者が数多く登場するが、なかなか気づかれない。そこで期待されるのが「シェア」機能だ。気にいったら交流サイトのフェイスブックやラインで推薦することができる。ラジコは地域に埋もれているいい話やおもしろい人を掘り起こす可能性を持ったのだ。
まだ実証実験であることや参加していない局があるなど課題は残るが、距離と時間を超えるラジコには生活を一変させる魅力がある。
(日経BPヒット総研 上席研究員)
[日本経済新聞夕刊2016年10月29日付]
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