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カエルをモデルに人くさく 草むらでスカウトし撮影

写真作家、溝呂木芳

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NIKKEI STYLE

世の中には多くのカエルファンがいる。グッズを収集する人、観察や飼育にいそしむ人、絵を描く人。私は生きたカエルの写真を撮る"カエラー"だ。ただ、内容は少し変わっているかもしれない。小道具を使ってカエルを擬人化した作品を撮ることに熱中している。

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模型でスタジオ

カエルたちには実に様々な場面に挑戦してもらった。気球やバイクに乗る、電話をかける、かき氷を作る。屋台を引く商売熱心なカエルもいる。季節やイベントに合わせて構想を練る。計算してみると、5600枚以上は撮っているはずだ。

若い頃からアマチュアとして風景やお祭り、人物像などを撮ってきた。2006年、あるコンテストのユーモア部門に応募する際、ひらめいたのが好きなカエル。3つ窓のある家のミニチュアを使い、2つの窓にカエルを配置。「みどりがおかハイツ 入居者募集中」という看板を立てた。

作品は入選。次こそトップを取ろうと、構想を練った。雑貨店でおでんの屋台のミニチュアを見つけ、カエルに引かせてみるとなんとも人間くさい1枚に。出来に満足してしまい結局コンテストに応募はしなかった。

撮影はすべて屋外で行う。自宅から車で20分ほの公園が"スタジオ"だ。到着してすぐに撮影というわけにはいかない。あぜ道を歩き、草むらをかき分けモデルを"スカウト"する。専らモデルを務めるのはかわいらしいアマガエルだ。

始めたころはモデル探しにも四苦八苦した。1日歩いて結局見つからないこともあった。今は経験でどこにいるかずいぶん分かる。問題は大きさだ。用意したミニチュアにぴったりのカエルにお願いすることになる。

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7~8匹を交代

無理をさせず、かわいく撮るのが信条だ。気配りは欠かせない。長時間の撮影で疲れてしまわないよう、1つの作品につき7~8匹のカエルをスカウトする。出番までは虫かごに水と草をいれた控室で待機してもらう。

ようやく撮影に入るが、ここからが大変だ。背景の写真と小道具を並べ、カエルを置き、素早くカメラを構える。動きを止めた一瞬が勝負だ。中には「抑えつけているのではないか」という人もいるが、そんなことはしない。気長にその一瞬を待つ。逃げるとき跳ねる距離が短くなってきたら、モデルは交代だ。

そんな調子だから、ファインダーをのぞいたときにはすでにモデルがいない、ということも珍しくない。当然、数が多いほど撮影は難しい。1シーンに1時間以上かかることもある。撮影中は「ちょっとだけ頼むよ」「じっとしてて」と声かけを欠かさない。意外と言うことを聞いてくれる。

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個性いろいろ

長年撮っていると、同じ種類のカエルでもさまざまな性格があることに気付く。落ち着きのある子は20秒以上じっと待ってくれる。気持ちが通じているのかもしれないと時々思う。カラオケをテーマにした作品で突然、歌うようにマイクに向かってパカッと口を空けてくれたこともあった。

撮影後は捕まえた場所に放し、飼うことはない。のびのび外で育たないと、みずみずしい緑色が出ないのだ。モデル料を払えず申し訳ないが、代わりにありがとうの気持ちとまた会えますようにとの思いを込める。

11月中旬ごろになると冬眠の季節だ。撮影は一区切りとなる。冬の間は小道具探しに奔走する。フィギュアショップや100円ショップに通い、次作の構想を練る。商品の入れ替わりが激しいため、チェックが欠かせない。宝くじを当てるなど、私の願望を作品にすることも多い。アイデアが浮かぶと携帯でメモする。1年中頭の中は写真のことでいっぱいだ。

私の作品はカエルがいなければ撮れない。田んぼやあぜ道、当たり前にあった自然はどんどん失われていっている。こんなにも愛らしいカエルたちが足元の自然で暮らしている。写真が身近な自然の大切さに目を向けるきっかけになればいいなと思う。

(みぞろぎ・かおる=写真作家)

[日本経済新聞朝刊2016年10月26日付]

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