東北にインバウンドは根付くか IBMが誘致効果検証自治体の事業対象 ネット情報分析、修正・廃止も提案

秋保大滝(仙台市)=PIXTA
秋保大滝(仙台市)=PIXTA

日本IBMは東北地方の自治体を対象に、外国人観光客(インバウンド)の誘致策を検証する事業を始める。情報通信技術(ICT)を活用し、自治体が実施した事業の前後でブログなどインターネット上の情報がどう変化したか分析。観光客の増加や観光地の評価改善につながっていない事業は修正・廃止を提案する。客観的な検証を元に、事業の実効性を高めてもらう。

まず、山形県の2016年度の22の観光関連事業を分析する。1億7000万円分の交付金を受けた事業で、庄内地域の観光PR、月山モニターツアー、天童温泉・山寺を周遊するための路線バスといった2次交通整備などが対象になる。

ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やブログ、口コミサイトなど、インターネット上にあふれる情報を事業前と後の2回分析する。

英語と中国語(簡体字・繁体字)で書かれた情報を3つのポイントで調べる。まず温泉やスキー場、土産品などに観光客がより関心を抱いたかを調査。次に実際に訪れた人がどれだけ満足したかを調べる。

最後に、ネット上の書き込みが他のサイトなどで転載・引用されることが多い人を洗い出す。「銀山温泉について発言力のある人」「松尾芭蕉について発信力のある人」など、個別の観光資源について細かく調べ、今後のプロモーションに活用する。

分析は有料で今回は1500万円。分析の結果、観光客の増加や観光地の評価改善に結びついていない事業は、修正・廃止することを提案する。東日本大震災からの復興につなげるため、政府は東北の観光を推進する交付金を立ち上げた。東北の自治体ではウェブサイトの多言語化や観光インフラの整備といった、交付金を使った事業が増えている。

今後は東北地方の他の県や市町村に順次採用を働きかけ、その後は全国の自治体に広げる。

[日本経済新聞2016年10月25日付朝刊]