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治水工事など歴史小説に 働く意義、現代に問いかけ

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NIKKEI STYLE

江戸期の航路開発や治水工事、大正期の神宮創建など、大規模プロジェクトを描いた歴史小説が相次ぐ。事業に情熱をかけた人々の姿を通じ、時代の流れをダイナミックにとらえている。

「河村瑞賢は(徳川4代将軍家綱の後見役)保科正之との関係を機に、明暦の大火で焼け野原となった江戸を造り直した。江戸と奥羽を結ぶ海運航路開発や大坂・淀川の治水工事など、プロジェクトごとに人々との交流があった」。江戸初期に活躍した河村瑞賢の生涯をつづった長編小説「江戸を造った男」(朝日新聞出版)を今年9月に出版した伊東潤はそう話す。

物語は、江戸で材木の仲買人を務める河村屋七兵衛(後の河村瑞賢)が、1657年の明暦の大火で三男の兵之助を失う場面から始まる。「もう一度、出直しだ」と誓った彼は、江戸の再建には大量の木材が必要になると判断、雪まみれになりながら木曽に買い付けに向かう。事業に成功した七兵衛は保科と知り合い、江戸の再開発に乗り出す。

「現代は一生懸命働くことはどこかかっこ悪いという雰囲気が蔓延(まんえん)しているように思う。瑞賢のように自分でハードルを設け、それを越えることに喜びを感じていたような人物を描くことで、そうした人材は今も必要であることを示したかった」と伊東は語る。

江戸中期、薩摩藩が幕府の命で、暴れ川で知られた木曽川、長良川、揖斐川という木曽3川の治水工事に挑んだ宝暦治水。この困難を極めた大型プロジェクトに材をとったのが、昨年10月に刊行された村木嵐の長編小説「頂上至極」(幻冬舎)だ。

「大きなプロジェクトには人々が協力して成し遂げる美しさがある。宝暦治水の成功の秘訣は我慢にあった。やらざるをえないと目の前のことに淡々と取り組んだ結果でしょう」と村木はみる。

積み重なる借財、「薩摩は関ケ原で負けたけえ、何でも言うことを聞かねばならんのじゃろ」という地元民の嘲笑……。様々な困難のなか、藩士たちは懸命に治水工事に取り組む。事業を率いた家老の平田靱負(ゆきえ)は竣工を見届けた後、多くの部下を失った責任をとって切腹する。

村木は司馬遼太郎の晩年に「お手伝いさん」として仕え、その後は妻の福田みどりが亡くなるまで個人秘書を務めた。「司馬さんはとにかく真摯な方だった」と懐かしむ。「小説では一生懸命生きた人を書きたい」というのは司馬の影響もあるようだ。

「明治神宮創建は人工の森を造ろうというもので、とんでもない難事業。小説にするには、それを動かしたエネルギーの源を探らなければならなかった。プロジェクトをたどるのは、時代の変遷を捉え直すことだった」。今年7月に神宮造営事業を描いた長編小説「落陽」(祥伝社)を刊行した朝井まかてはそう話す。

明治天皇崩御後、渋沢栄一ら政財界人は神宮を東京に創建する方向で動き始めるが、帝国大学農科大学講師の本郷高徳は「風土の適さぬ地に森厳崇高な森は造れない」と反論。しかし、いったん東京での造営が決まると、本郷ら林学者たちは全力で事業に取り組む。その動きをスクープしようと新聞記者が追いかける。

「林学者たちの間には、この事業がうまくいかなかったら、自分たちの学問は世間から相手にされなくなってしまうという危機感があったのではないか」と朝井。その上で「林学者たちにはなすべきことをまっとうする背骨の強さがあり、そこに財界人の緻密な企画力が加わることでうまくいった」と話す。

ほかに第155回直木賞の候補となった門井慶喜「家康、江戸を建てる」もプロジェクト小説と見なせそう。そこで見られるリーダーシップなどは、大型事業が相次ぐ現代においても参考になるに違いない。

(編集委員 中野稔)

[日本経済新聞夕刊2016年10月25日付]

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