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海なし県・埼玉の中心で… サメ化石の発掘体験東松山「化石と自然の体験館」

2016/10/22

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土砂をふるいにかけ、夢中で化石を探す(埼玉県東松山市)
土砂をふるいにかけ、夢中で化石を探す(埼玉県東松山市)

1500万年前に大海を泳いでいたサメの歯の化石を発掘しよう――。まるで地質学者になったかのような気分を味わえる施設が「海なし県」の埼玉にある。都心から約1時間半。太古の海のロマンを感じる東松山市の「化石と自然の体験館」を訪ねた。

体験館は埼玉県のほぼど真ん中。関越自動車道東松山インターチェンジ近く、物流施設などが立ち並ぶ葛袋産業団地のそばにある。

「誰が最初に化石を見つけられるかな」。3連休最後の10月10日、体験館には親子連れを中心に約20人が集まっていた。片手にスコップを握りしめた子どもたちが、指導員の呼びかけを合図に一斉に化石を探し始める。

石と土が入ったバケツから、スコップで土をすくい、ふるいにかける。ふるいに残った石ころと砂の固まりは空のバケツに捨てるが、時折、石とは明らかに違う「何か」が交ざっている。近くにいる指導員に見せると、どんな生物の化石かを判定してくれる。

記者(32)もやってみた。が、何度やっても見つからない。ガサガサ、ザザザッ――。石と砂だけが、むなしくふるいの上を踊る。

「見つかった!」「これは珍しい。メジロザメの歯です」。周りの子どもたちの声に焦りが募る。見かねて近づいてきた指導員に「石ばかりです」とあきらめ顔でふるいを見せると「これはウニのとげです」と何やら拾い上げた。長さ2~3ミリで白っぽい、一見粒の大きな砂かと思ったが、化石だという。

この地でなぜ、海洋生物の化石が見つかるのか。「太古の昔、この周辺は海の底でした」と教えてくれたのは指導員の荒井豊さん。この辺りは1500万~1000万年前、海底に堆積した地層が隆起してできた地形で、化石好きの間ではサメの歯の化石などが発掘できる地域として知られていた。産業団地が造成される際、貴重な資源を残そうと、工事の際に掘り起こした岩石や土を保存。これを理科教育や地域活性化に生かすために4月に開設したのが体験館だ。

屋内で体験ができ、高い確率でサメの歯の化石が見つかる施設は珍しい。この日もオオワニザメの歯や巻き貝など39個の化石と鉱物が見つかった。最多は5つ見つけたヴィリアフロア穰二くん(8)。「おもしろくてあっという間。また来たい」と顔をほころばせた。

見つけた化石は、調査研究の対象になる貴重なもの以外は持ち帰ることができる。家に帰って、宝飾品にも使われる鉱物のメノウを妻に見せると「ただの石じゃないの」とそっけない。童心に帰った発掘体験から一転、現実に引き戻された。

貴重な化石が次々に

サメの歯はエナメル質のため、1000万年前の物でも原形をとどめている

体験館では、しばしば貴重な化石が見つかる。4月の開館以降、ハリセンボンの歯や、ほぼ完全な形で残っているメジロザメの歯、体長が最大で15メートルを超えるとも言われる巨大なサメ「カルカロドン メガロドン」の歯なども発掘されている。サメの歯はエナメル質のため、化石として残りやすいという。

来館者は親子連れが大半で、市外からが8割を占める。市外からの来館者の体験料は大人1000円、小中学生が700円。事前予約が必要。

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