自由の条件 猪木武徳著
「善い社会」へ優れた示唆
ビジネスを含め、社会生活の健全さは、秩序の健全さによって担保される。だが、社会には不満が溢(あふ)れる。人間の持つ能力格差が不平等を生み出すからだ。しかし人間の尊厳を主張する側は、仕組みの問題としてそれを認めない。自由の擁護は、イデオロギーとして「分が悪い」。
それぞれの主張が重なるスミス、トクヴィル、福沢諭吉という近代の大思想家を辿りながら「自由と平等」を徹底して突き詰めた本書は、民主制社会の経済メカニズムと、人々の価値意識、そして政策手段との整合性に関して優れた示唆を与えてくれる。大切なのは冷静な議論だ。「言論の自由」は、議論を通して、「真理への到達」「善い社会」の形成を支えるからだ。素晴らしい5つ星。
★★★★★
(福山大学教授 中沢孝夫)
[日本経済新聞夕刊2016年10月20日付]
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
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