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レーダーに映らない飛行機、どんな仕組み?

NIKKEIプラス1

2016/10/18 日経プラスワン

PIXTA

■レーダーに映らない飛行機、どんな仕組み?

スーちゃん 上空を飛んでいるのに、姿が見えない飛行機があると聞いたよ。レーダーにも映らないってどういうことかな。どういう仕組みなんだろう。

■ぶつかる電波を別方向にはね返すからだよ

森羅万象博士より ステルス機だね。「ステルス」とは、英語で「こっそりと」という意味があるよ。周りに気づかれずに飛ぶから、敵の目をかいくぐる軍用機に使われているよ。

 まずはレーダーがどのような仕組みで物体を探っているかを知ろう。レーダーは電波を物体に当てて、反射してきた電波を受け取る。ちょうど、山に向かって叫んだ声が返ってくる「やまびこ」と同じ原理だね。この返ってくる波を「反射波」と呼ぶよ。反射波が戻ってくれば、そこに山があるとはっきりするね。

 電波がぶつかって、戻ってこなかったとしたらどうだろう。そこに山があるかどうかわからなくなるよ。

 ステルス機は、レーダーの電波を戻さない工夫をしているんだ。地上やほかの飛行機に載ったレーダーから出る電波をうまくかわしているから「見えない」といわれているんだよ。

 飛行機の形に秘密があるんだ。電波は平らな物体に当たったとき、当たったところの反対側に飛んでいく。反射というよ。このとき、電波が物体に向かってきた角度と同じ角度で反射する性質がある。

 この角度を工夫して、レーダーから発信された電波を相手側に反射させないようにしているんだ。電波を吸収したり、変な方向に飛んでいくよう機体の形を変えるんだ。電波がもどってこないから、レーダー側では「この先に飛行機は無い」となるよ。

 ふつうの飛行機は、尾翼(びよく)やボディーが地上に対して垂直(すいちょく)になる部分が多い。ここに電波が当たると、一部の電波が元の方向に戻ってしまう。ステルス機は、飛んできた電波を別方向に反射できるようにボディーが斜(なな)めになっていたり尾翼を傾けていたりする。先端部分も、平べったく設計しているんだ。

 パイロットが乗り込む部分にも工夫がある。パイロットは外を見て操縦(そうじゅう)しないといけないからコックピットの窓は透明だ。でも窓から電波が入り込んで、操縦席の色々な機械にぶつかって元の方向に戻りかねない。だから窓のある風防は、電波を様々な方向にはね返す鉄の粒子を含む塗料(とりょう)が塗ってあるよ。粒子は小さいから人の目には透明に見えるけど、電波は入り込まない仕組みになっているんだ。

 それでも、エンジン近くの部品はどうしても直線になってしまいがちだ。そのため、エンジン近くは、細かい凸凹(でこぼこ)ができるように塗装(とそう)してある。凸凹な塗装に電波が当たると、あちこちに反射して電波が弱まる仕組みなんだ。

 すべての電波を制御(せいぎょ)できるわけではないんだ。飛行機を確認できるほどの強い電波を相手のレーダーが受け取れないから、実質的には「見えない」ことになる。

 そもそも、見つからないように飛ぶのは特別な任務だね。電波と同じように光も反射するよね。光が物体にぶつかって目に届くと、物が見えるよ。光が戻ってこないようにすれば、透明人間もできるかもしれないね。

■コウモリは超音波で物体検知

博士からひとこと 実はコウモリやイルカも、同じような仕組みで物体を検知している。動物は人には聞こえない超音波を出して、仲間やエサの位置を調べている。潜水艦(せんすいかん)で使うソナーとも同じ原理だね。
 音波を使う動物は、人ほど目は良くない。潜水艦にも海の中をのぞく窓はほとんどついていない。でも音波をつかって位置をとらえることで暗い洞窟(どうくつ)の中や、深い海の中でも活動ができるんだ。
 人の耳に聞こえない低い音を使う動物もいる。ゾウは、遠方にいる仲間とのコミュニケーションに「超低周波音」を使う。クジラも優れた超低周波音の使い手だ。

(取材協力=防衛装備庁)

[日経プラスワン2016年10月15日付]

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