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水で戻す乾燥納豆、粘りも風味も 海外体験がヒント 群馬の上州農産、在留邦人向け通販で人気

2016/10/14付 日本経済新聞 地域経済

「水で戻す糸引き納豆」は海外駐在の日本人向けに通販サイトで販売する

 納豆を製造販売する上州農産(前橋市、松村省児社長)は乾燥させた納豆を水につけて戻してから食べる商品を開発した。長期保存が可能なため海外駐在の日本人向けに通販サイトで販売するほか、災害時の非常食としての需要も見込む。開発の背景には、社長の子息の松村徳崇専務がフィリピンで目の当たりにした納豆の流通環境の悪さがある。

 上州農産は保育教材販売のアズサひかりのくに(前橋市)が2010年に設立した食品事業部が発祥だ。納豆好きという松村社長が立ち上げ、12年に上州農産として独立した。群馬県内で大豆の一大生産地である前橋の粕川地域で大豆をつくり、納豆に加工している。

松村徳崇専務

 フィリピンで建築関連の仕事をしていた松村専務が14年に帰国し、現在は専務が上州農産の経営を実質担っている。

 主力商品は粕川地域の納豆を使用した「なっからうんめぇ!粕川なっとう」シリーズ。スーパーや農産物直売所のほか、社内に販売店を開いている。

 今春発売した新商品「水で戻す糸引き納豆」は独自開発の特殊な乾燥機を導入するなどして製造技術を確立した。現在は月間約600パックを製造する。

 乾燥させた納豆を3時間水につけると通常の納豆に近い状態になる。1パック80グラム入り(4食分)で賞味期限は1年間。「粘りけや風味も一般的な納豆に遜色ない」(松村専務)

 「フィリピンで口にしてから納豆が食べられなくなった」。松村専務は同国駐在時に食べた納豆の品質の悪さに驚いた経験がある。「輸出の過程で発酵が進むことなどが原因」で特有の臭みが生まれ味も落ちる。「自分と同じように感じる日本人は多いはず。インスタントの納豆があれば需要が見込める」と帰国後、社内で議論しながら開発を進めた。

 現在は前橋工科大学と共同で、製造後の菌の数の推移を測定しながら保存期間を実証する研究などを進めている。結果次第では、賞味期限をさらに伸ばせる可能性があるという。

 商品は海外在留邦人向けの通販サイトで扱っているが、人気が高く現在は製造が間に合っていない状態。そこで年内にも生産設備を導入し、増産体制を整える計画だ。今後は栄養価が高い非常食として、自治体の危機管理関連の部署にも売り込み販路を広げていく。

 松村専務は「国内外の人に粕川産の納豆を広く知ってほしい。粕川のブランド力の向上にも貢献していきたい」と意気込む。

(前橋支局 島本雄太)

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