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釣り初心者つかむ竿 しなり追求「浜名湖セット」 釣り具店イシグロ、魚に合った独自商品

2016/10/14付 日本経済新聞 地域経済

初心者向けの竿とリールのセットは浜名湖の魚に合ったしなりを追求した

「お父さんがエサのつけかたを知らない時代。初心者が釣りを楽しめる道具を作らなくては」。釣り具を販売するイシグロ(浜松市)の石黒衆社長は、ピークの半分くらいに減ったという釣り人口の減少を嘆く。つのる危機感をバネに力を入れるのは、初心者向けに価格を抑えた独自商品だ。

石黒社長の一押しは「浜名湖セット」(税別3980円)や「QUEST磯サビキセット」(同2980円~)などの3000円前後の竿(さお)とリールのセット。3000円前後の低価格帯のセットはいわば入門用だが「安かろう悪かろうの道具では楽しさは伝わらない」(石黒社長)とこだわりを持つ。最初のモデルを発売してから20年、改良を続けてきた。

イシグロは静岡県を中心に24の釣り具販売店を展開する。浜名湖での釣りで人気の高いアジやサバ、タイなどを狙うのに適した竿など地元密着型の独自商品が支持を集める。一般的に竿とリールは大手メーカー製の人気が高い中で、2016年2月期の売上高76億円のうち自社商品は1割を占めている。

追求するのは最適な竿のしなりだ。「釣りの醍醐味は魚が食いつくアタリの瞬間の感触」。魚によって重さや引きの強さは違い、しなり具合がその感触を大きく左右する。狙う魚種に合った竿でないと、せっかくかかった魚を逃がすどころか竿が折れてしまう。中国など海外の工場に細かく仕様や要望を伝えたうえで、生産を委託している。

大手メーカーの初心者セットは全国の様々な魚への対応をめざしたモデルで、針など仕掛けの部分もセットになったものが多い。だが「適した道具を選ぶ楽しさも知ってほしい」と、あえて仕掛け部分は別売りにして釣り方や場所に応じて選べるようにした。

初心者向けは、14年のモデルチェンジ後に16%売り上げが伸びた。「自分の若いころより、ずっといい竿だよ」。石黒社長は誇らしそうに笑う。

(伊神賢人)

■「初心者から玄人まで、道具は釣りの楽しさを伝えるものでありたい」

客の様々な要望に応じる中田さん

10月上旬のイシグロ浜松高林店。竿(さお)の改造・修理コーナーで、ベテラン店員の中田一義さん(77)が黙々と客からの改造要望や修理に応じる。「自分だけの竿は釣り好きみんなのロマン」(中田さん)。使う素材やしなり、重さなど客ごとに異なる要望を引き出し、応えていく。

「初心者から玄人まで、道具は釣りの楽しさを伝えるものでありたい」。自らが太公望だから道具にこだわる客の気持ちが分かる。「社員214人、全員が根っからの釣り好き」。石黒社長がそう誇る社員がイシグロの品質を支える。

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