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台中国家歌劇院 伊東豊雄設計で台湾に完成

11年を費やしたオペラハウス 理念は「ボーダーレス」

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NIKKEI STYLE

台湾中西部の中心都市、台中市に9月末、世界的建築家の伊東豊雄が設計したオペラハウスが開業した。劇場、作品の「ボーダーレス」を理念に、10年がかりで完成させたプロジェクトだ。

台北から高速鉄道で南へ1時間。台湾第3の都市、台中市の高層マンションやショッピングセンターが立ち並ぶ新興開発地区の一角に、鮮やかな曲線のデザインが目を引くガラス張りの建築物が姿を現す。9月30日、2005年の入札から約11年の歳月を経てオープンした「台中国家歌劇院(台中メトロポリタンオペラハウス)」。台湾で初めての本格的な歌劇場だ。

曲線に乱反射

伊東が設計した地上6階、地下2階の建物は「カテノイド」と呼ばれる、3次元の曲面で構成される。白を基調とした建物の内部は天井、壁、床が区切りなく一体となったチューブのような形状で、その美しく滑らかな曲線は直角的な構造の従来の建物にはない。建物の曲線に音が乱反射するため、音響面での利点も大きい。地元台湾では斬新なデザインが「サウンド・ケーブ(音の洞窟)」と呼ばれ、開業前から人気の撮影スポットになった。

伊東は建物のコンセプトについて「ジオメトリー(幾何学)とダイナミックな自然の融合を目指した」と語る。建築物は独立した存在ではなく、自然や周囲と一体となってこそ機能するという考えのもと、あらゆる境界線を取り払った。

そうした「ボーダーレス」の考えに基づき、大劇場の天井部には歌手や奏者を配置できる円形状の足場を設置。中劇場は客席と舞台の段差や区切りを必要に応じて取り払える。小劇場はさらにユニークで、バックステージの大型扉を開けると円形劇場のような石段の野外客席が現れる。屋上や平面スペースもイベントに活用でき、まさに「建物全体が劇場」(伊東)だ。

ただ、完成までには紆余曲折(うよきょくせつ)があった。斬新な構造のために工事が極めて難しく、施工業者が1年半ほど見つからなかった。着工は入札から4年後の09年。結局地元業者が担当することになり、伊東の設計事務所が一から工法を教えた。14年に建物を落成したが、その後様々な施工上の問題が見つかり、改修を余儀なくされた。伊東は「100%満足とはいかないが、それでも完成したのは奇跡に近い。もうこんな建物は作れない」。伊東は胸を張る。

国際色豊か

同歌劇院によると、ここ30年、アジアだけでも1997年に開業した日本の新国立劇場を含め、約200の歌劇場が建設された。しかし、多くの人員や装置を必要とするオペラをはじめ、劇場運営には莫大な費用がかかり、近年は劇場の新設が少ない。

そんな中で劇場を開業したのは、国際的な作品制作を通じ、台湾の文化水準の高さを示すためだ。世界のオペラハウス事情に詳しい岡部真一郎・明治学院大教授は「後発組の台湾が独自性を出すための方法が、この有機的な建物をフル活用したボーダーレス戦略」と語る。

この戦略は、公演内容にも通じる。9月30日にオープニング上演されたワーグナーのオペラ「ラインの黄金」は演出が世界的に注目されるスペインのパフォーマンス集団「ラ・フラ・デルス・バウス」で活躍するカルルス・パドリッサ。SFのような近未来的で演劇的要素が強い、ワーグナーの重厚さを抑えた演出が印象的だった。指揮は台湾生まれの呂紹嘉、演奏は台湾国家交響楽団と地元だが、キャストは欧州や日本など国際色豊かだ。

今月1、2日に中劇場で上演した舞台「ラ・モード」は、ピアノ演奏にファッションショーや演劇、現代ダンスなどを織り交ぜた斬新な作品。作品をプロデュースした日本のピアニスト向井山朋子など7カ国・地域のスタッフで構成される。歌劇院芸術監督のビクトリア・ワンは「ジャンルを超え、ボーダーレスの素晴らしい作品を生み出す」と自信を示した。

ただ、現状では伝統芸能などの公演を除くと、台湾以外のアーティストが中心の舞台が目立つ。岡部氏は「最終的に台湾発の自主制作作品がどれだけ生み出せるか。劇場がアーティスト育成の場になる必要がある」と指摘する。

(文化部 岩崎貴行)

[日本経済新聞夕刊2016年10月11日付]

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