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禅テーマに美術館 広島県福山市の寺院

名和晃平が設計 闇と一体、目覚めよ感覚

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NIKKEI STYLE

広島県福山市の寺院に禅をテーマにしたミュージアムができた。海外でも評価の高い彫刻家、名和晃平が巨大木造建造物を設計。内部は漆黒の闇が広がり、訪れる人を深い瞑想(めいそう)にいざなう。

JR福山駅から南へ車で約25分。なだらかな山あいに臨済宗建仁寺派の神勝寺がある。総門に向かって左手に、平らな六角形をした巨大な物体が顔をのぞかせる。全長46メートル、高さ10メートル。名和と建築家の李仁孝、古代裕一がチームを組んで設計した常設の展示作品でもある木造建造物の「洸庭(こうてい)」だ。伝統建築で多用される「こけら葺(ぶ)き」の技法で全体を柔らかく包む。

建築と彫刻 融合

「洸庭」は、禅の教えを広く体験してもらうため、9月11日にオープンした「神勝寺 禅と庭のミュージアム」の目玉の一つ。「海原に浮かぶ舟をイメージした」建物の周りは、海から採取した貝殻まじりの砂が敷かれ、白い波を象徴するような石が組まれた。

「建築であり、彫刻でもある。両者の融合を目指した」と名和。舟型の建物のわきには小さな出入り口が設けられ、タラップのような細い渡り廊下を伝って内部に入ることができる。

20人ほどが入ればいっぱいになる空間は、濃い闇に満たされていた。しばらく目を凝らすと、前方からわずかな光のゆらめきが視界に入ってくる。建物の内部には水をたたえた大きな「プール」(名和)。水面に光が反射しているのだ。「外の世界の風景というよりは、人間の心の内に見える光のようなものを意識した」と名和は語る。

水と光があやなす効果を確認するため、制作段階では、小学校のプールを借り切ったり、スタジオに仮設プールを作ったりして実験を繰り返した。光はちらちら瞬(またた)いたり、帯のように揺らいだりして、強さも少しずつ変わっていく。

静寂の中、かすかな光の刺激に意識を集中させると、視覚だけでなく聴覚や触覚までもが研ぎ澄まされる。自分自身が闇や光と溶け合って一体化していくような感覚に襲われる。

「感覚」は名和の彫刻作品を象徴するキーワードでもある。代表作「BEADS」シリーズは、彫刻の表面に張り詰めたビーズの球が彫刻の姿を無数の粒に分裂させ、「見ること」の意味を鑑賞者に問い直した。

最近の現代美術は「強い光、大きな音といった刺激を与えることに頼りすぎているのではないか」と名和。洸庭では「最小限の刺激で普段使っていない感覚を呼び覚ます」(名和)ことを狙った。こうした発想は、静かな環境の中で瞑想し、物質と精神、有限と無限の境を取り払おうとする禅の世界とも重なる。「言葉では表現できない禅のこころを体感できる場所になれば」と名和は期待する。

初の白隠専門館

ミュージアムには、江戸時代中期の禅僧、白隠の禅画や墨跡を常設展示する「荘厳堂」も設けられた。ユーモアあふれる達磨(だるま)や観音像、極太の筆跡の書など、コレクションの総数は約200点。花園大学教授などを務めた白隠研究の専門家、芳澤勝弘によると「白隠専門の展示館は日本初。収集点数も国内有数の規模」という。

芳澤が監修して年4回展示替えし、各回30点ほどを紹介する。作品をガラスケースで囲わず、間近で鑑賞できるのが特徴。「過剰な説明書きも省いて、作品をじっくり見る環境を提供したい」と芳澤は語る。

古典と現代、禅に関わる2つの美術が同じ場所に置かれた。禅がブームとなるなかで、新しい形のミュージアムは時代を超えた禅文化の魅力を体感できる場となりそうだ。

=敬称略

(文化部 郷原信之)

[日本経済新聞夕刊2016年10月4日付]

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