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女性アスリート 特有の体調管理に、健康スキル磨こう

栄養管理や通院で改善

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NIKKEI STYLE

女性がスポーツを続けるうえで気をつけないといけないのは、女性ならではのけがや病気だ。日本産科婦人科学会などの調査によると、新体操や長距離走に打ち込む人では約1~2割が無月経だった。女性選手の多くは体が大きく変わる思春期ごろから運動に励む。トップ選手に限らず月経異常や疲労骨折などを防ぐ対策が課題になっている。

女性スポーツ選手向けの窓口「女性アスリート外来」を設置している順天堂大学の病院。20歳直前でも月経がない人や、生理が2~3年近く来ていない人が訪れる。

体調管理に悩む人を支援するのが目的で、産婦人科や整形外科などと連携して相談に応じる。まず栄養指導をし、それでも症状が改善しなければ経過を見ながら薬を処方するときもある。担当の北出真理教授は「リスク要因は個人によって様々。専門外来や産婦人科の受診は重要だ」と話す。

激しい運動をする女性は、脳の視床下部の異常による無月経、骨粗しょう症、エネルギーの不足が生じやすい。専門家は「女性アスリートの三主徴」と呼ぶ。

◇     ◇

日本医療研究開発機構(AMED)の事業で日本産科婦人科学会などが国内の約2000人の女子大学生を分析したところ、地方大会や全国大会に出場する水準になると6%程度が無月経で、運動をしない一般女性の1.8%を上回った。新体操などの美しさを重視する競技は16.7%、マラソンなど持久力を必要とする競技の選手は11.6%と無月経の割合が高かった。

不調には女性ホルモンの「エストロゲン」の低下が関わっている。激しい運動でエネルギーが不足し、卵巣に送られる性腺刺激ホルモンが減ると同時に、エストロゲンを作る体脂肪が減り、エストロゲンが少なくなる。無月経や月経周期異常などの症状が現れ、将来の不妊症などにもつながりかねない。

月経周期が正常でも痛みを伴う月経困難症や心に不調をきたす月経前症候群になれば、スポーツを楽しめなかったり試合で良い結果が残せなかったりする。

日本体育大学の須永美歌子教授は「本格的に競技に取り組む人は、月経の周期をコントロールすれば武器になる可能性もある」と話す。女性ホルモンが多い時期は持久力に関わる数種類のアミノ酸の濃度が下がるという。月経の調整で持久力が高まる可能性がある。海外の研究でも、女性ホルモンが多いと筋肉のたんぱく質の合成を促したり、血管を拡張したりする効果が分かったという。

東京共済病院の久保田俊郎院長は「ピルなども正しく使えば、脱水症状や血栓症は起きない。薬を頭ごなしに否定するのはよくない」と話す。

エストロゲンの不足は疲労骨折の一因でもある。エストロゲンは、古くなった骨の細胞を壊す「破骨細胞」の働きを弱める。破骨細胞が働きすぎると、骨粗しょう症に似た症状になる。

日本産科婦人科学会などの調査では、持久力や美しさを競う競技や、レスリングなどのパワー系の競技で2割超が疲労骨折の故障を抱えていた。

◇     ◇

疲労骨折は2~6カ月は安静を余儀なくされる。違和感に早く気づく方法の一つに、痛みを感じる部位を拳で軽くたたくやり方がある。痛みが「ジーン」と長く響くようなら疲労骨折を疑う。

長距離走などでは、走り方に癖があると片足に負担がかかりやすい。東京医科歯科大学の柳下和慶准教授は「疲労骨折の原因となる癖の改善が重要」と話す。治療期間中に足の関節を動くようにストレッチをしたり、腰より上の体幹を鍛えたりするとよいという。

様々な不調の背景には、栄養が足りないとの指摘がある。新体操やマラソンなどで大会出場まで考えると体重が軽い方が有利と考えて食事を抜き、摂食障害になる人もいる。

激しいトレーニングを課すと、エネルギーを消費するだけでなく、運動で交感神経が活発になり消化を促す副交感神経の働く時間が短くなって、エネルギー不足に陥りやすい。月経の異常や骨粗しょう症、貧血のきっかけになる。

神奈川県立保健福祉大学の鈴木志保子教授は「減量をするならば、普段から栄養を摂取し、1カ月程度で集中して取り組むのが望ましい」と競技水準に応じた工夫の必要性を説く。

指導者の自覚も求められている。成長期の小学生や中学生は、成長を妨げる過度な運動をしないように、指導者が一人ひとりの成長の違いを見ながら自主練習などを調整する。トップレベルの選手で運動量を増やしたい場合は、栄養の専門家らが協力する体制を整える。選手寿命も延びており、将来を見据えた強化策を考える時期に来ている。

◇     ◇

指導者や保護者 連携して後押しを

選手が女性特有の健康問題を抱えていても、治療へのためらいや練習を休む後ろめたさから病院に通いにくいのが実情だ。指導者とのコミュニケーション不足も一因だ。

日本産科婦人科学会の委員会は国内のスポーツ指導者約100人にアンケートした。選手から相談を受けた指導者は52.2%にとどまり、男性指導者は女性指導者に比べ、月経不順や不正出血などの相談件数が半数以下だった。女性指導者の中にも、自らの経験から我慢を強いる人もいるという。同学会では女性選手の指導者向けのマニュアルの作成を進めている。

選手と指導者、医師の適切なコミュニケーションに保護者が一役買うケースもある。順天堂大学の女性アスリート外来に来る選手の約7割は、保護者の勧めで通院を決意しているという。

同大は選手の健康管理に役立つ「女性アスリート手帳」をネットで公開。手帳を診療に生かす北出教授は「選手と保護者が協力して健康管理をするのにも役立つ」と話す。

日本産科婦人科学会と日本女性医学学会は、全国の産婦人科を対象に女性アスリートの診療指針の作成も始めている。月経周期異常、月経困難症、骨粗しょう症、栄養管理など7つの項目に関して全国の医師が選手をサポートできる体制づくりを急ぐ。早ければ2017年5月にもまとめる予定だ。

(荒牧寛人)

[日本経済新聞朝刊2016年10月2日付]

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