アイドルユニット「生ハムと焼うどん」 歌と寸劇の破天荒ライブ
高校の同級生だった西井万理那(まりな)(19、写真=左)と東(ひがし)理紗(18、同=右)が文化祭に出演するため結成した「生ハムと焼うどん」。本格的な活動を始めて1年あまりでライブ動員が急増。歌やその合間に繰り広げる寸劇は全て自分たちでプロデュースし、一度見たら忘れられない衝撃がある。アイドル界の台風の目だ。
初の単独ライブは昨年10月。収容300人のライブハウスでスタートし、今年3月の2回目は同1000人の会場を埋めた。10月には同3000人の会場を予定し、一足飛びに階段を上っている。
「とにかく新しいモノを生み出したい」と意気込む西井。略して「生うどん」と呼ばれる2人の破天荒ぶりは独特の寸劇に表れている。アイドルの裏表、オタクの生態などシュールで毒のあるドタバタを繰り広げる。定番ネタはあるが毎回少しずつ変え、時事性も盛り込む。「セルフプロデュースだから本番20分前に思いついて、すぐ演出を変えられる」と東。セリフや動きにはキレがあり、スピード感たっぷり。「ギリギリで生きてるよね」と西井は相づちを打つ。
舞台に観客を上げ、セリフを言わせたり、歌わせたりするのも前代未聞。東は「お客さんと境界が無いライブにしたい。お客さんがこう言ったらこう返すと、シミュレーションを重ねるうちに怖さもなくなってきた」。究極の観客参加型ライブといえそうだ。
作詞作曲は東が担い「携帯電話1台でできちゃう」。メモした歌詞を見ながら歌って携帯に録音。音声データと曲のイメージをプロの編曲家に送信して仕上げてもらう。東は「歌詞を書きためた携帯を無くして『終わった』と思ったら1週間後に出てきた」と笑う。「たまごかけごはん」「ツイテール」といった代表曲はすぐ覚えてしまうほどキャッチー。「きゃりーぱみゅぱみゅさんや大森靖子さんから影響を受けた」
2人は高校の演劇・音楽科でダンスや演技、作詞などを学んだ。在学中から劇団に所属し「演出家からの指導で『自分に厳しく』と意識するようになった」と東。結成前は別々のアイドルユニットで活動した経験も。無手勝流に見えて、実は歌も演技も確かな基礎を持っている。ファンへの心配りも細やかだ。
(明)
[日本経済新聞夕刊2016年9月21日付]
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