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美女乱舞、撮り下ろし個展 写真家・篠山紀信さん

見る者と写真、境界消す

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NIKKEI STYLE

JR品川駅前の雑踏を通り抜け、静かな屋敷街を歩くこと15分。西洋モダニズムを取り入れた築78年の邸宅の扉を開けると、一糸まとわぬ女性たちが乱舞する光景が広がる。原美術館(東京・品川)で来年1月9日まで開催中の「快楽の館」展は、ライフワークであるヌード写真への情熱をあらん限り注ぎ込んだ。

夕闇迫る美術館の玄関口で、ハイヒールを履いただけの美女が誘惑するようにちらりとこちらを振り返る。白い壁を背にした女性たちの肌は極上の陶磁器のようにつやつやとして柔らかさと温かみをたたえている。人の体が持つ根源的な美しさに吸い寄せられる。

総点数は77点。すべて展示会場である美術館内で撮り下ろした。「美術館で撮って、同じ場所で作品を展示してみたかったんだ」と振り返る。「美術館の非日常的な空間に、それに負けない写真のパワーをぶつけてみたら、面白い空間が生まれるんじゃないか」

挑戦は成功を収めたようだ。板張りの部屋で足を上げ、ピアノに腰を下ろし、思い思いのポーズでまなざしを投げかけてくる女性たち。カメラを複数台つなげて撮影する独自の「シノラマ」技法を使ったパノラマ作品が、撮影されたまさに同じ部屋の壁にかかる。大きさは等身大、もしくはそれ以上だ。前に立つと、自分が写真の中に入り込んでしまうような感覚に陥る。「額縁にはめ込まれた作品を鑑賞するんじゃない。写真を体感してほしい」

荒木経惟、坂田栄一郎ら名だたる写真家の展覧会を開いてきた原美術館から「何を撮ってもいいのでぜひ個展を」と依頼があったのは昨年。「がらんどうの白い空間が広がるふつうの美術館と違い、ここには人が住んでいたころの名残がある。中に入ったら建築がとっても色っぽい。これはぜひ撮りたいと思った」

広告写真から出発し、雑誌や写真集など主に印刷物に作品を発表してきたため、数年前まで美術館での展示とは縁遠かった。「展覧会は過去の業績を振り返ることが多いでしょ。写真家として一丁あがり、もう終わりって言われてるみたいで避けていた」

2012年に熊本市現代美術館から巡回が始まった「写真力」展で変わったという。ジョン・レノンとオノ・ヨーコ、山口百恵など時代を代表する人物のポートレートを並べた。「大判の人物像の前に立つと、自分と写真の境界がなくなるように感じた。写真の中の百恵ちゃんと同時代の自分の記憶がよみがえってくる。雑誌やスマホの画面みたいな小さな写真だと、なかなかそうはいかない」

準備は周到にする。だが「撮る瞬間が訪れたら、シャッターを切るのは3枚。それ以上は撮っても強い写真にならない」と言う。取材中、インタビューカットを撮りにきたカメラマンに「そんなに時間かけてもいいもの撮れないよ」とプレッシャーをかける場面も。

「自分だって人を撮るのは今でも緊張する。写真は自分の中にエネルギーをためて、一気に相手にぶつける作業だから。でも同時に、最大限の愛情を表しながら撮っている。相手の一番良い姿を撮ろうって。写真は一期一会なんだ。直感なんだ」

◇     ◇

用意周到、「強い作品」撮る

「私は一方的には撮らない」と宣言する。写真は自分の頭で描いた構図を再生する道具ではないという。「大事なのはコミュニケーション。撮る相手と一緒に作っていく」

相手が人間でなくても変わらない。羽田空港滑走路の人工地盤を支える列柱が、海面から突き出ている光景に息をのんだ。「飛行機に乗って旅立つ人に、こんな美しい光景が下には広がっているんだぞって言いたくなって、瞬時にシャッターを切った」。もの言わぬ列柱の言葉を代弁するかのような写真になった。

来年4月5日まで彫刻の森美術館(神奈川県箱根町)で開催中の「KISHIN meets ART」展では、ヘンリー・ムーアなど同館所蔵の彫刻作品を撮って同館で展示する。作品と写真が持つ力の「バトル」を体感してほしいという趣向だ。「野外で雨風に耐えている彫刻の、一番いい姿を捉えようと粘った。写真は直感だけど、それに至るまでの準備がなければ強い作品は撮れないからね」

(文化部 郷原信之)

[日本経済新聞夕刊2016年9月21日付]

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