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富士山はどのくらい遠くから見えるの?

2016/9/20 日本経済新聞 プラスワン

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スーちゃん 富士山はどのくらい遠くから見えるの?
千葉県の銚子市でタワーに昇ったら富士山が見えたよ。びっくり
森羅万象博士 けっこう遠くからでも見えるらしいよ。最も遠い場所はどこかな
直角三角形の公式「ピタゴラスの定理」で計算しよう

博士より 銚子市は富士山から200km近く離れている。周りに高い建物がなければ、すみ切った晴れの日には、けっこう遠くからでも富士山は見えるんだ。

富士山が見える範囲(はんい)は直角三角形を使えば、算数の考え方で求めることができる。まず、直角三角形について勉強しよう。直角三角形には次のような式が成り立つ。

たての長さ×たての長さ+横の長さ×横の長さ=ななめの長さ×ななめの長さ

これは「ピタゴラスの定理」というんだ。この式はどんな直角三角形でも成り立つ。例えば、たて3cm、横4cm、ななめ5cmの直角三角形で考えてみよう。それぞれの辺が作る正方形の面積を求めると、たての3cmが1辺の正方形は3×3=9(cm2)。横の4cmが1辺の正方形は16(cm2)、ななめの5cmが1辺の正方形は25(cm2)。上の真ん中の図のように9+16=25が成り立つとわかるよね。

じゃあ、実際に富士山が見える範囲を計算してみよう。上の右の図のように、地球と富士山の高さをふくめた大きな直角三角形を考えてみよう。高い建物や山といったさえぎるものはないという条件だ。

まず富士山の山頂から見えるいちばん遠い地点を線で結び、そこから地球の中心に向かって線をひく。さらに富士山の山頂から地球の中心に向かって引くと、富士山の山頂から見えるいちばん遠い地点が直角となる三角形ができる。

地球の半径は約6400km、富士山の高さは3776mなので約3.8kmで考えよう。富士山の山頂から地球の中心までの辺の長さは6403.8kmで、これが直角三角形のななめの辺になる。横の辺は地球の半径で6400km。たての辺を□とする。□は計算のうえでは、富士山の山頂から見わたせる最も遠い距離(きょり)になる。

そして、ピタゴラスの定理にあてはめよう。

6400×6400+□×□=6403.8×6403.8

電卓を使えば□×□=41008654.4-40960000=48654.4とわかる

□に数字を当てはめて48654.4に近い数字をさがしてみよう。

220×220=48400

221×221=48841

□は220と221の間の数なので、およそ220kmと考えてよい。これは高さが海抜(かいばつ)0mのときの計算上の値だ。地図で、富士山の山頂から220kmの円をかいてみると、けっこう広い範囲になるよ。

■最も遠い場所は約323km

博士からひとこと 地図の上で富士山から半径220kmの円をかくと、三重県や新潟県、福島県も入ってくる。こうした場所からは富士山が見えるのかな。実際には、もう少し遠い場所からでも見えるよ。光は屈折(くっせつ)によって、空気の中を真っすぐではなく少し曲がりながら進むからだ。
山などの高い場所からなら、もっと遠いところでも富士山は見える。ちなみに、富士山が見える最も遠い場所は和歌山県の色川富士見峠(とうげ)といわれている。標高約700mの場所で写真が撮影(さつえい)されているよ。富士山からの距離(きょり)は約323kmにもなるんだ。

(取材協力=芳沢光雄・桜美林大学教授)

[日経プラスワン2016年9月17日付]

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