駅の混雑、アプリで確認 車内の混み具合は5段階で
路線ごと位置表示
「台風の影響で電車が止まって駅が混雑している」――。東京急行電鉄のアプリ「東急線アプリ」が話題を呼んでいる。自宅にいながら駅の構内の様子が分かるサービスだ。「駅視-Vision(ビジョン)」は、駅構内に設置してある防犯カメラの画像を5分間隔でアプリに配信している。
画像は個人が特定できないよう自動的に加工し、プライバシーには配慮した。今年3月から三軒茶屋駅や武蔵小杉駅など6駅で試験的に実施し、今後は対象の駅を広げていくという。
人身事故や電車のトラブルなどで運行が止まったとき、駅構内が混雑して入れなくなる場合がある。鉄道事業本部の田島慎太郎さんは「駅に行かなくても混雑状況が分かるため、違う路線やバスに切り替える判断がしやすくなる」と話す。
電車の運行情報も従来よりきめ細かく提供している。たとえば、アプリの「列車在線位置」の機能だ。路線ごとに電車の位置を表示しており、自分が乗りたい電車が駅の近くにいるか分かる。遅れている電車の横には「+1」や「+2」と表示されて、実際の時刻表と何分間の差があるか視覚的に見られる。
駅の掲示板で遅れの案内は出ていてもアプリほどは細かく表示されていない。スマホを使うことで鉄道会社と同じような情報を共有することができる。「遅れの程度を具体的な数字で示すことで乗客は待ち時間を把握しやすくなる」(田島さん)
車内の混雑具合や温度がリアルタイムで分かるユニークなサービスを提供しているのが東日本旅客鉄道(JR東日本)の「JR東日本アプリ」だ。山手線を対象にした機能で、電車の車両ごとに設置した音波を発信する装置が車内状況をチェックする。混雑具合は5段階で表示。運行中の電車の位置も表示しており、電車を選んで車内の状況を詳しくみられるようにした。
ICTビジネス推進グループの松本貴之さんは「ホームなどで電車を待っている乗客がすいている車両を選んで乗ることができる」と語る。アプリでは車両ごとの温度の様子も表示している。混雑しているときは他の車両より1度高かったりするという。アプリを使い混雑度や温度など車掌と同じ情報を乗客も入手できるようになってきた。
ロッカーの空きも
JR東日本では駅構内の情報も積極的に発信している。その一つがコインロッカーの空き情報だ。大きな荷物を持った旅行者にとって駅のロッカーは欠かせない設備だが、広い駅構内のどのロッカーが空いているのかが分かればさらに便利になる。
アプリでは電子マネー「スイカ」に対応したロッカーの空き状況が分かる。東京駅や新宿駅、品川駅など5カ所で利用が可能だ。画面で駅の構内図からロッカーの位置を選んでサイズから絞り込んで確認する。このほかに駅構内や駅ビルの商業施設のお得な情報も充実している。
京王電鉄のアプリ「京王アプリ」は京王線や井の頭線の運行情報をプッシュ通知でスマホの画面に表示してくれる。人身事故や電車トラブルなどによる運転見合わせの情報、運転再開のお知らせなどを知らせる。
電車の運行情報を早めに入手できれば余裕を持って対策を打てる。自分が利用する電車に合わせて各社のアプリを使うことで、移動がもっと便利になりそうだ。
(メディア戦略部 古山和弘)
[日本経済新聞夕刊2016年9月15日付]
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