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 夏休みなど長期の休みや、仕事で出張に出掛けたとき、職場へのお土産はどうしているだろうか。職場に配るという性質上、友人や社外に渡すお土産と同じように考えない方がいい。気を付けるべき点や作法についてまとめた。
お土産ひとつで話が弾むこともある(松江市のWILLさんいんのオフィス)

お土産ひとつで話が弾むこともある(松江市のWILLさんいんのオフィス)

マナー・接遇研修や職業訓練を手掛けるWILLさんいん(松江市)教育事業部チーフ、柴田綾香さん(34)は、実家のある神奈川県に帰省したときは、必ず職場にお土産を買って帰る。地元の名物まんじゅうだったり、全国的に知られているせんべいだったり、中身はさまざまだが「できるだけ地元で探している。ネタになるし、会話が弾んで盛り上がる」。

同社の金築理恵社長は「職場でのお土産は、行った先の良さを伝えたり、おいしいものを共有したりするというコミュニケーションのツールの一つ。渡すときに会話が生まれ、コミュニケーションが円滑になる」と話す。

どんな物を選べばいいのだろうか。やはり無難なのは、菓子に代表される食べ物だという。気を付けるポイントは、食べるときの手間。例えば、メロンやカステラなど、包丁で切る作業や盛りつけるためのお皿が必要になってしまうものは避けた方がいい。要冷蔵の商品も保存のために冷蔵庫が必要になる。包丁やお皿、冷蔵庫がオフィスにない場合もあるだろう。

そう考えると、常温で保存が可能で、お菓子一つ一つが個別に包装されている形のものがおすすめだ。すぐに食べる人ばかりではなかったり、出張に出かけたりしている人を考えると、日持ちがするものの方が望ましい。少なくとも購入の前に賞味期限のチェックは忘れないようにしたい。

食べ物ではない場合は、あぶらとり紙のように「もらって困らない物、使って役に立つ物がいい」(金築社長)。超高額の商品は、逆に気を使わせるため、選ぶ必要はない。その上で、人数の少ない職場なら、全員に行き渡るだけの数を用意して一人ひとりに手渡すと喜ばれると金築社長はアドバイスする。

全員にはとても配れないような規模の大きい職場もある。その場合はどんな工夫が考えられるだろうか。快適な職場づくりや一流の気配りといった講演活動やビジネス書を執筆しているキャリアカウンセラーの高嶋ちほ子さん(東京・江東)は、まず、置く場所の工夫を提案する。

ベストは、社員それぞれの行動予定を書き込むホワイトボードの下。このように「目に付くが、邪魔にはならない場所」を探すのがポイントで、そこにさりげなく置いておくことが気楽でいいという。高嶋さんは「仮に全員に行き渡らなくても、お土産を置いてある事実が目に留まればいい。ご自由に召し上がってください、というのが日本人的でおすすめ」という。

ただ、誰が置いたのかわからないのはよくない。最低でも、自分の名前と、一言メッセージのメモを添える必要があるだろう。ただ、こうして置いておくと、せっかく買ったお土産が残ってしまわないか、心配になるものだ。

そこで、高嶋さんは、添えるメッセージを工夫することを推奨する。パターンは、(1)地元で大人気、おばあちゃんの手作りといった商品の背景(2)「すごくおいしかった」など自分の感想(3)テレビや雑誌で紹介されたという裏付け(4)地域や期間などの限定であることのアピール――の大きく分けて4つ。

ちょっとしたことだが、こう書いてあるだけで「試しに食べてみようか」と手に取りやすくなる。大切なのは「適当に買ってきたのではなく、食べてほしいと思ったので買ってきた」という気持ちを伝えること。

帰り道の売店で慌てて買ったような、心がこもってないお土産は、時間とお金の無駄遣いとも言え、何より、職場にも伝わる。「それだったら、無理に買わなくてもいいのでは」と高嶋さん。それよりは、休み中にかけた周囲への負担を仕事で返すこと、そしてフォローをしてくれた上司や同僚に一言お礼を言う。それだけでも周囲はずっとうれしい気持ちになるはずだと強調する。

(ライター 田中 輝美)

[日本経済新聞夕刊2016年9月5日付]

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