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冷蔵庫に在庫の山… 眠れる保冷剤を活用したい

2016/9/6 日本経済新聞 プラスワン

 ケーキ店やスーパーなどでついもらってしまう保冷剤。冷凍庫にたくさんたまって困っています。食品ではないけど、もったいない気がして捨てられません。何か使い道はないのでしょうか。

■アロマ垂らして芳香剤に

 保冷剤をもらう機会が増えたと感じる人は多いだろう。食品の保冷には従来、炭酸ガスで作るドライアイスが使われていた。ただ、直接手で触れたり口に入れたりすると凍傷になる危険があるほか、ガスとしてケーキに入り込むと舌を刺激し、酸味を感じるなど味を損なう問題があった。そこで1990年代からより安全で簡単な保冷剤が本格的に普及したという。

 スーパーやケーキ店などでもらう30~50グラムの保冷剤は、重量の約99%が水で残りが高分子吸水性ポリマーだ。このポリマーは紙おむつなどに使われ、水を吸収するとジェル状になる。安定剤や防腐剤が入っていることもある。

 間違って口にしても大丈夫なのか。保冷剤大手、トライ・カンパニー(静岡県沼津市)販売グループの石原紀彦さんは「誤飲の問い合わせはとても多いが、一口や二口食べても問題はない」と話す。かつては海外産など粗悪品もあったが、最近のものは安全性に配慮されているという。

 使うときは、特徴を押さえておきたい。50グラムの保冷剤の場合、気温30度なら0度を保つのは2時間ほど。徐々に上昇して3時間強で20度に達する。気温18度で発泡保冷ボックスに入れると、5、6時間は0度を維持できる。

 冷気には上から下に流れる性質があるため、弁当箱に使う場合は上側に置き、「少しフタから離しておく」(石原さん)のがコツ。離した方がムラなく冷やせる。30~50グラムの保冷剤だと1個で30分間が目安だ。ただしケーキ店などでもらう小さい保冷剤はアイスクリームの保冷には向かない。アイスの保管はマイナス18度以下が基本で、このタイプの保冷剤では凍ったままを維持できないからだ。

■左鎖骨にピタッ 汗抑える

 冷やす以外の使い方もある。例えば消臭。高分子吸水性ポリマーには、臭いの原因物質を吸着する性質がある。中身を出して、表面積が広くなるよう平らな皿に載せると効果的だ。パッケージに「消臭剤として再利用できます」と書いてあるものもある。

 ジェル部分にいい臭いを吸着させれば芳香剤にもなる。例えばアロマオイルを数滴垂らす。小瓶に入れ、絵の具などで色を付ければちょっとしたインテリアにもなる。

 99%が水という性質から、植物の水やりにもいい。「袋から出して植木鉢や庭木の下にまいておくと、土の成分と反応して徐々に浸透する」(石原さん)。ジェル状で花や木を挿すと安定するので、吸水スポンジ代わりにもなる。

 女性にはさらに役立つ使い方がある。美容研究家で美容矯正専門サロン、サロン・シー表参道店ディレクターの境貴子さんは、電車に乗ったらハンカチに包んだ保冷剤を左鎖骨の下に当てる。このあたりに大きな血管やリンパ節があるので、「汗の引きが早くなる」。汗で化粧が崩れるのを防げるという。

 日々の肌の手入れに取り入れるのもいい。入浴後やホットタオルで顔を温め、筋肉が緩んだ後に、ハンカチで包んだ保冷剤で3分ほど場所を変えながら冷やす。「温めてから冷やすと血管の拡張、縮小を後押しし、血行が良くなる」(境さん)。酸素や栄養分が隅々まで行き渡り、細胞が生まれ変わる代謝を活性化する。「それから美容液や化粧品を使うと吸収の仕方が違う」。続けることで、透明感が高い肌になるという。

 日焼け後のケアにも有効だ。日焼けした後はできるだけ肌を冷やして落ち着かせる必要がある。シャワーで冷やすのも手だが、火照った肌に水シャワーだと刺激が強い。そこで「まずは保冷剤で冷やすのがおすすめ」(境さん)。タオルなどでくるんで冷やすといい。ただし、どの使い方も低温やけどをしないようやり過ぎには注意しよう。

 保冷剤を捨てるときは自治体の指示に従おう。燃えるゴミのところもあれば、不燃ゴミの場合もある。確認しておきたい。

 いろいろ使える保冷剤。冷凍庫に眠る無用の長物にするにはもったいない。上手に活用しよう。

(畑中麻里)

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[日経プラスワン2016年9月3日付]

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