スポーツ上達アプリ3種 元プロの助言やチーム強化も
ゴルフや野球
8秒撮影で16コマ
「自分のスイングはどこに問題があるのか」。野球やゴルフで正確なフォームを身につけるために動画を撮って研究する人は少なくないだろう。しかしどこが問題なのかを見抜くのはなかなか難しい。スポーツの動作分析を容易にできるのが、SPLYZA(浜松市)の「Clipstro(クリプストロ)」。8秒間の動画を撮影すると、「残像」と呼ぶ最高16コマの静止画に分解して表示。フォームや姿勢などをポイントごとに確認できる。
静止画を表示する間隔や、一度に表示する静止画のコマ数は調整が可能。動画の中で複数の人の動きがある場合には、一番大きく映っている人の動きのみを静止画にすることもできる。 活用できるスポーツは野球、サッカー、テニスなどの球技だけでなく、走り幅跳び、トランポリン、スノーボードなど幅が広い。土井寛之社長は「特に走ったり跳んだりといった動きのあるスポーツでは利便性が高い」と胸を張る。社会人になってウインドサーフィンを始めた土井氏が、練習できない時間にいかに上達するかを考えたのが開発のきっかけ。価格は480円(税込み)。2014年7月のサービス開始以来、ゴルフに特化したシリーズ製品と合わせ7万4千のダウンロード数になった。
だんきち(大阪府摂津市)のアプリ「スポとも」は、利用者が撮影した動画を元プロ選手らスポーツの経験者がチェックしたうえで、解説を加えて返送するサービスだ。動画のなかで改善すべき箇所に矢印や十字線で印をつけたうえで、音声で解説を加えてフィードバックする。山梨県に住む高田貴大さん(10)は、スポともで大阪府のコーチに野球を習っている。始めて2カ月。「丁寧な解説でわかりやすい」と満足げだ。
与島大樹社長は「地方では、指導者の選択肢が大都市に比べて少ない。できる限り同じ環境でスポーツに取り組むことができるようにしたいと考えた」と話す。14年4月にサービスを開始。ゴルフに特化した製品と合わせて約150人の指導者が登録しており、8割が元プロ選手。利用者は1000人ほどで、ゴルフが5割、野球が3割。残りはテニスやダンスが占める。
データ管理で作戦
アプリはダウンロードが無料で、レッスンに応じて料金がかかる。野球は月額税込み8900円(税込み)で、ゴルフ、他競技は1レッスン1000~5000円(同)ほど。指導者や競技によって料金が異なる。
Link Sports(東京・港)のアプリ「TeamHub(チームハブ)」はチームとしての強化を図るうえで役立つアプリだ。日程などのチーム内連絡に加えて、試合結果やスコアなどの入力が可能。チームや個人の成績を蓄積してランキング形式で表示もできる。共有した結果をもとに、次の試合の作戦を練り、メンバー選考に役立てる。
スコア入力は各スポーツに特化したフォーマットを整備中。現在はサッカーとフットサルのみだが、今年中に3種目を追加。3年後をめどに100種目まで増やす。小泉真也社長は「活動記録は将来、ビッグデータとしてアマチュアスポーツの競技力や環境の向上につなげられるはず」と期待する。今年8月にサービスを開始し、600チームが登録している。
(メディア戦略部 夏目祐介)
[日本経済新聞夕刊2016年9月1日付]
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