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ネットテレビ「Abema TV」 ポケット茶の間に若者集う

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NIKKEI STYLE

世帯あたりの普及率が7割に迫るなど、生活に欠かせない道具になったスマートフォン。動画コンテンツを楽しむメディアとしても存在感は増すばかりだ。象徴するのが「インターネットテレビ局」をうたう「Abema(アベマ) TV」。4月のサービス開始から4カ月でアプリのダウンロード数が700万を突破、異例の人気を集めている。

テレビ朝日とサイバーエージェントの共同出資会社が運営し、ニュースやアニメなど20チャンネル以上が無料で視聴できる。動画配信は一定額を払えば見放題になる仕組みが一般的だが、あえてテレビ型を採用した。番組表があり、合間にはCMが流れる。視聴のされ方も「なんとなくつけている」というお茶の間のテレビ状態を目指している。

そのメーンコンテンツが、テレビ朝日が制作する「アベマNews」だ。「毎日、何か起こっていないか(ネットで)確認する人は多い。視聴習慣をつけてもらうためにニュースは最適」とサイバーエージェント社長の藤田晋氏は言う。速報性があり、編成もテレビより自由なため、緊急時には会見の一部始終を編集せずに流すといった対応も可能。4月に発生した熊本地震や、政治資金不正流用疑惑が報じられた前東京都知事の舛添要一氏の会見では、視聴者数を大きく伸ばした。

10~30代をターゲットに据えたコンテンツの設計は徹底している。ニュースのコメンテーターに10代から20代前半の若者を起用し、スポーツもスノーボードやスケートボードを放送。アニメにも5チャンネルを割く。「テレビはシニアのメディアで『自分たちの居場所ではない』と感じている若者が集まるようにしたい」と藤田氏は語る。

視聴者がコメントを投稿できる機能がそれを支える。「ニコニコ生放送」などでコメントの投稿、共有に慣れた世代にとっては、むしろ必須のツール。疑似お茶の間で「コメント自体が一つのコンテンツのような状況ができつつある」(藤田氏)。

テレビ離れが進んだのは、番組が面白くないのではなく、テレビをつける習慣が薄れたからだ、ともいわれる。ならば、手の中にいつでも取り出せるテレビを作ればいい。アベマTVは一つの回答といえるだろう。

(赤)

[日本経済新聞夕刊2016年8月31日付]

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