麻倉未稀さんが35周年アルバム 大人の風韻感じる歌

1980年代、テレビドラマ「スクール☆ウォーズ」の主題歌「ヒーロー」や「黄昏ダンシング」などのヒットを連発した。デビュー35周年を迎え、記念のアルバム「ボイス・オブ・パワー」をこのほど発表。「歌手として新たなスタートラインに立てる手応えをつかんだ。納得できる作品ができた」と声を弾ませる。

特に満足なのが、新アレンジの代表曲とともに同作に収めた新曲3曲だ。「人生は美しい」「今も、今日からも」などの表題で、どんなにつらくても前を向いて生きることは素晴らしいと深い心情をちりばめた。

大人の風韻を感じる歌をデビュー時から目指していたが、「勢いが先行した若い頃は歌いきれなかった」。不遇の時期が続いたり、近しい人が病気になったりと「いろんなことを乗り越えてきた今ならば歌える」と今作で初めて挑んだ。歌詞の意味をかみしめながら歌声を紡ぎ、息継ぎの間など細部にも表現の意味を込めた。歌手として新境地を切り開く作品になった。

35年の歩みで、とりわけ印象に残る記憶がある。2011年、東日本大震災の約1週間後に開いた仙台の商業施設でのミニライブだ。30周年アルバムの販促活動だったので辞退するつもりでいた。だが、「物を買う行為が命の実感につながる」と施設側に言われた。被災しながらも九死に一生を得た人たちが「ヒーロー」を食い入るように聴いてくれた。「歌っている私が感動で泣きそうになった」

以前にも増して、歌で人を元気にするという歌手の使命と真剣に向き合うようになった。「目標は75歳まで歌うこと。アップな曲もスローな曲も歌えるエンターテイナーになりたい」と力を込めた。

[日本経済新聞夕刊2016年8月30日付]

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