ライフコラム

子どもの学び

かみなりの電気 どうやってできるの?

2016/8/30 日本経済新聞 プラスワン

■かみなりの電気 どうやってできるの?

スーちゃん 最近、なんだか雷(かみなり)が多いよね。近くで雷が落ちて、バリバリってすごい音がすると、びっくりしちゃう。雷の正体って電気なんでしょ? どうして雲の中で電気ができるのかな。

■雲の中で氷がぶつかって静電気がおきるんだ

森羅万象博士より 雷が電気だとつき止めたのは米国の科学者で政治家でもあるベンジャミン・フランクリンだ。1752年の雷の日にたこを飛ばし、たこ糸に伝わる電気を感じとって雷の正体を確かめた。

雷のもとは雲の中で発生する「静電気」だ。下じきで頭をこすると、かみの毛が逆立つよね。このとき摩擦(まさつ)によってできたのが静電気だ。静電気が雲の中に大量にたまると、雷が発生するんだ。

夏の雷が発生する仕組みはこうだ。まず、強い日差しで地上の近くの湿(しめ)った空気が暖められて、上空へのぼる。この上昇(じょうしょう)気流に乗った空気は冷やされ、空気中の水蒸気が水のつぶになる。こうしてできたのが雲だ。上昇気流に乗ってもっと上空へ行くと、水のつぶがさらに冷えて氷になる。さらに雲の中で氷のつぶがぶつかり合い、摩擦によって静電気が生じる。

氷のつぶ同士は衝突(しょうとつ)をくりかえす間に電気をやりとりして、大きなつぶはマイナス、小さなつぶはプラスになる。大きなつぶは重いから、雲の下の方にマイナスの電気がたまっていく。軽い小さなつぶは上昇気流に乗って雲の上の方に集まる。

電気のプラスとマイナスは磁石(じしゃく)のように引き合う。それで、雲の下の方にたまったマイナスの電気に引きよせられるように、地面にも地中のプラスの電気が集まってくる。プラスとマイナスの電気がある量を超(こ)えると、雲から地面に向かって一気に電気が流れ落ちる。これが雷なんだ。

プラスの電気は雲の上の方にもあるから、雲の中で起きる雷も多いんだよ。雲が光っているときは、雲の中で雷が発生したと思っていいよ。

雷の電気の量は10キロ~500キロワットにもなる。はげしい雷だと、普通の家庭で使う電気の約50日分に相当する量になるそうだ。

雷が発生する条件は3つある。「強い上昇気流」「地上付近の湿った空気」「上空にあるセ氏マイナス10度以下の冷たい空気」だ。天気予報で「大気が不安定になるので雷に注意して」と説明しているのを聞いたことがないかな。これは地面の近くに暖かい湿った空気があり、上空には冷たい空気が広がる状態だ。地面と上空で気温の差が大きいから、強い上昇気流ができやすい。

気温が高い夏は積乱雲ができやすく、雷が多くなる。気象庁の調べでは、雷が落ちたことによる被害(ひがい)は8月が最も多く、7月が2番目に多い。でも条件がそろえば、季節に関係なく雷は発生する。日本海側では、北西の季節風が強い冬に3つの条件がそろいやすく、雷が多くなる。

雷は「落ちる」というけれど、地面から上空に向かって流れることもある。雲が低くたれこめている冬は、上向きの雷が起きやすいそうだ。

実は、雲の中でどうやって電気がたまるのかなどははっきりとわかっていない。どこに雷が落ちるのかも今の科学では予想できない。雷には、まだまだなぞが多いんだ。

■「バリバリ」は空気を通る音だよ

博士からひとこと 雷の音は地面に落ちて何かがこわれたときに発生するわけではない。雷が空気を通りぬけるときにできるんだ。
空気はふつう電気を通さない。雷のときは大量の電気がむりやり空気を流れるんだ。雷が通る場所はセ氏10000度以上になるといわれていて、周りの空気を一気に加熱する。加熱された空気がものすごい勢いでふくらむと、空気がふるえる。その振動(しんどう)が空気を伝わって広がるときに「ゴロゴロ」とか「バリバリ」という音になると考えられている。爆発(ばくはつ)と同じなんだ。遠くの雷は雲や山などではね返ってゴロゴロと、近くで落ちた場合はバリバリと聞こえるようだよ。

(取材協力=新藤孝敏・電力中央研究所研究アドバイザー)

[日経プラスワン2016年8月27日付]

ライフコラム 新着記事

ALL CHANNEL