DIY女子、私だけの家具 気軽に講座、専用の工具も

2016/8/27

暮らしの知恵

小さなスツールをつくったり、木製の家具をアンティーク風に塗装したり。DIYでこだわりの家具づくりを楽しむ女性が増えている。消費者の節約志向も追い風だ。趣味と実益を兼ねた「DIY女子」に向けてホームセンターなどが気軽に参加できる家具づくりの講座を開いている。

カインズ鶴ケ島店では予約制のDIY講座をほぼ毎日開催(埼玉県鶴ケ島市)

「あれ?ビスが1つ足りない」。8月上旬、ホームセンターのカインズ鶴ケ島店(埼玉県鶴ケ島市)。店内の「カインズ工房」では女性4人が扉付きの小さな収納棚を手慣れた様子で組み立てていた。午前10時から午後3時までお昼休憩も挟んだ本格的なDIY講座だ。組み立てが終わると、アンティーク風に塗装して完成。参加費は材料代・税込みで2500円だ。

材料の木材はカインズが事前に切りそろえて用意する。参加者は電動ドライバーなどの工具を使って収納棚を組み立てながら、扉の開閉に使う蝶番(ちょうつがい)の取り付け方などを学ぶ。工房には元大工の店員も控えており、助け舟を出す。受講者の江口晶子さん(64)は「以前からDIYに興味があった。手軽に楽しめる場所ができてうれしい」と話す。

カインズ工房は2015年春に鶴ケ島店に開設したのを皮切りに東京都江東区や名古屋市など5店舗で展開する。カインズカルチャー企画室の塚越葉子室長は「ものづくりの発想をかたちにする場所を提供したい」と話す。立体物を成形する3Dプリンターやレーザー加工機も備え、車のおもちゃをつくる講座も開いた。鶴ケ島店ではDIYの顧客は9割が男性だったが、工房導入後は3割が女性になった。

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カフェのような外観が特徴のtukuriba(東京都世田谷区)

講座を担当する店員は実はDIY初心者。もちろん事前に研修はするが、塚越氏は「専門的な用語を使わず参加者と同じ目線で作業を進められる。初めての女性でも参加しやすい」という。鶴ケ島店では予約制のDIY講座をほぼ毎日開催。江口さんは月1~2回は参加する常連だ。これまでにつくった家具を撮影した作品集を講座仲間と見せ合いながら楽しむ。DIY好きが高じて今年は川越市内の自宅の板塀も自分でつくった。

DIYといえば郊外のホームセンターのイメージが強いが、最近は都心の商業施設でも家具づくりなどを気軽に楽しめる施設が増えてきた。園芸資材メーカーのプロトリーフ(東京・港)は玉川高島屋S・Cガーデンアイランド(東京・世田谷)で女性向けDIY専門店「tukuriba(ツクリバ)」を運営している。アンティーク風の木材やタイル、ペンキが並ぶおしゃれな雑貨店といった雰囲気だ。15年春に開業した。利用者は家で使うものをつくりたいという30~40代の主婦が多い。

店内の一画には1時間1080円で利用できる作業スペースもある。工具に不慣れな女性向けに、握りやすいのこぎりなどをメーカーと共同で開発した。自宅とは異なり騒音や木くずを気にせずDIYを楽しめる。ツクリバではスツールなどの製作キットも販売。切りそろえた材料一式が入っており、手ぶらで来店しても何かつくれる。木製プランターやモザイクタイルを使ったトレーなど女性向けの講座も開設。500円程度で参加できる小物づくりの講座もある。

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1回限りの講座が多いなか、定期的に通うスクールも。DIY用品のネット販売を手掛ける大都(大阪市)は今年3月、商業施設なんばパークス(大阪市)に「DIY FACTORY STUDIY」を開いた。DIYを基礎からしっかり学べる。電動工具の使い方と木材加工、塗装の基本コースを受けた後、テーブル製作や壁紙の貼り方など実践的な内容に進む。税抜き3万円分のポイントを購入すると、6~7回受講できる。

会員数は6月末で約200人と想定の1.5倍のペースで増えた。9割が女性だ。米国の工具メーカー、ブラック・アンド・デッカーの調査ではDIYに関心があるという女性が6割近くいる一方、実践しているのは1割強にとどまる。

消費者の節約志向もありDIYへの関心は高い。頭のなかで思い描いたイメージをかたちにする喜びが生活に彩りをそえてくれそうだ。

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■節約志向で市場は堅調
 日本DIY協会(東京・千代田)によると、2015年のホームセンター市場の24.6%を「DIY素材・用品」が占める。市場全体の売上高が前年比1.6%減るなか、DIY関連は節約志向を反映して0.6%増と堅調だった。

(企業報道部 伊藤大輔)

[日本経済新聞夕刊2016年8月24日付]

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