カップヌードルミュージアム、500万人突破の快進撃
話題絶やさず 冷めぬ人気
日清食品ホールディングスが手がける「カップヌードルミュージアム(安藤百福発明記念館)」(横浜市)の来館者数が先月、開館5年弱で500万人を突破した。年間入場者数約100万人を維持し、人気が衰える兆しはない。
開館は2011年9月。アートディレクターの佐藤可士和が総合プロデューサーを務め、内装は白と赤が基調の洗練されたデザインだ。即席麺を開発した創業者、安藤百福の生涯を紹介するコーナーや「なんでもヒントにする」「タテ・ヨコ・ナナメから見る」など発明のキーワードをアート風に学べる「クリエイティブシンキング ボックス」などの展示がある。「発明・発見の面白さを子どもたちに伝えるのがコンセプト」(筒井之隆館長)だ。
とりわけ人気を集めるのは主力商品の体験コーナー。スープと具材の5460通りの組み合わせから好きな味を選べる「マイカップヌードルファクトリー」と、小麦粉から即席麺を手づくりする「チキンラーメンファクトリー」の2種類がある。
じつは同社のミュージアムは、これが初めてではない。1999年、大阪府池田市に無料の「インスタントラーメン発明記念館」をオープン。04年にマイカップヌードルファクトリーを新設してから人気が高まり、年間70万人ほどが訪れる。ここでのノウハウを生かし、規模を拡大した。
一般的に企業ミュージアムはオープン当初こそ話題になるが、だんだん来館者が減る。筒井館長は「そうならないよう、何度も来たくなる工夫をこらしている」と言う。
マイカップヌードルファクトリーでは、バレンタインデー前後にはハート型かまぼこを投入するなど、期間限定具材を出す。昨年は5万個以上のカップヌードルで作ったピラミッドを展示し、単一のパッケージ商品を積み上げた数としてギネス世界記録に登録された。「SNS(交流サイト)などに発信したくなる話題を常に提供してきた」(筒井館長)戦略が奏功している。
現在、来館者のうちリピーターが2割近くを占め、4回以上訪れるファンも少なくない。54%はSNSなどの口コミをきっかけに同館を知るという。今年度の入館者数も前年度比6%増で推移している。
(宇)
[日本経済新聞夕刊2016年8月17日付]
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